体長50cm近くのニベが入荷しました。
スズキ目ニベ科に属し、浮袋も食用になる魚です。取り付く島もないことを「にべもない」と言いますが、その語源にもなっています。。
ニベの焼霜造り。
ニベの皮には独特の風味があります。焼霜造りにして正解でした!
ニベの浮袋は粘り気が強く、接着剤の原料として使われていたようです。ニベの浮袋を「鰾(へ)」と呼んでいました。ニベの「に」は煮ることを意味しますから、そのまま名前の由来になっています。
浮き袋を煮て、接着剤の「膠(にかわ)」を採取していたとは・・・その粘着力の強さから、ニベは他人との親密関係を意味するようになりました。にべもないとは、言い得て妙ですね。
絶品の刺身!外洋に面した浅場に棲息
新鮮であれば、ニベの刺身がおすすめです。
今回入荷したのは、比較的大きな個体でした。鱗と内臓を取り、1日冷蔵庫で寝かせてから刺身に引きました。
ニベの全身。
全体的に黄色味がかっていますね。斜めに斑紋が綺麗に並んでいます。お腹が張っているところを見ると、どうやら卵を抱えているようです。胸びれと腹びれの距離は近く、スズキ目の特徴を有しています。
ニベの吻(ふん)。
比較的短めの吻です。下顎よりも上顎の方が丸く突き出ています。
頭を割ると、中から白い耳石が出て来ました!
イシモチなどにも見られる耳石ですが、ニベにもあるんですね。
背鰭は二手に分かれているようです。
手に持っているのは第一背鰭です。
やはり大きな個体は寝かせるに限りますね。
三日ほど寝かせても美味しいでしょう。
ニベの腹びれ。
腹びれも黄色味がかっています。
ニベの尾びれ。
鰹の尾びれのように、V字型には切れ込んでいません。高速で泳ぐ魚ではないようです。
ニベの内臓。
うっかり浮袋を撮影するのを忘れてしまいました(^-^; 中骨にしっかり付着していたのは覚えていますが、そのまま引き剥がしてしまいました。卵巣には血管が色濃く走っており、この後血抜きをしてから煮ました。
なかなか歩留まりも良かったです。
食べ応えのあるニベですが、さほど市場には出回りません。比較的珍しい魚の部類に入りますが、見つけたら購入しておきたいですね。
ニベやチョウザメ、イシモチなどの浮袋は「魚肚(ユイドウ)」として、中国料理の高級食材にもなっています。乾燥させた浮袋を戻し、煮込みやスープに使われています。