団体宿泊のお客様に、「ダビデの星」という名の珍しいオクラをお出し致しました。
ダビデの星は太くて短いオクラです。
その断面が六芒星(Star of David)を思わせることから、ダビデの星という名前が付けられています。ダビデの星はユダヤ民族を象徴する印であり、ちょうど二つの正三角形を逆に重ねた形状です。実際にはダビデの星の切り口は六芒星の形をしていません。九角形、十角形といった感じで決して六角形ではないのです。あくまでも六芒星を彷彿とさせる形状ということのようです。
トマトの夏野菜ゼリー寄せにダビデの星を散らします。
やはりこの形は目を引きますね。
ダビデの星は大振りのオクラですから、存在感も抜群です。今回は海老の出汁をベースに、トマトと酢の味を効かせたゼリーに仕立てています。トマト釜の中には南瓜、オクラ、ピーマン、ズッキーニ等々の夏野菜が入ります。
籠目紋にも似る六芒星
六芒星で思い出すのが、安倍晴明の紋で知られる五芒星ではないでしょうか。
五芒星は魔除け効果のある印として古来より重んじられてきました。吉水神社の北闕門で見たセーマンも五芒星を表しています。六芒星はイスラエルの国旗にも見られ、何か意味深なものを感じますね。
ダビデの星とも言われる六芒星ですが、我が国日本にもよく似た文様があります。竹編みによる籠の編み目を図案化した ”籠目紋” がダビデの星と重なります。伊勢神宮周辺の石燈籠にも籠目紋が刻まれており、邪悪なものを祓うパワーが信じられていたのではないでしょうか。
ダビデの星。
見た目にもインパクトのある野菜で、普通のオクラに比べるとかなりサイズも大きいです。
大振りのため堅いのではないかと危惧するのですが、食べてみるとその柔らかさに驚きます。ほんのりとした甘味も感じられ、実に美味しい野菜であることが分かります。
こちらが六芒星です。
二つの正三角形を逆に重ねた形をしています。
ケチャップで有名なカゴメ株式会社の商標にも見られる印ですよね。カゴメと籠目、さらには童謡に伝わる「かごめかごめ」と「囲む」の関係・・・古来より、実に様々な角度から語られる謎の多い印です。
奈良県産オクラ ダビデの星
特徴は。断面が五角形ではなく綺麗な切れ込みの入った星形で、見た目は堅そうですが食べると肉厚もあり美味しいです。
調理法。塩少々入れてゆがき、スライスしてかき揚げ天ぷらとか この断面を活かした料理に使ってほしいです。
今回、お料理に使ったダビデの星は奈良県産の食材です。
元々オクラという言葉は、西アフリカ地域の言葉に由来しています。エジプトでは紀元前から栽培されていたと言いますから、大変歴史のある野菜なんです。オクラは世界共通語にもなっており、その点では柿(KAKI)と同じですね。
星の形というだけで、どこか縁起の良さが感じられます。
そのねっとりとした歯触りは、まさしくオクラそのものです。
シュッと先が細くなっていますね。
オクラ特有の「淑女の指(レディースフィンガー)」を表現しています。
アフリカ原産のオクラですが、日本へはアメリカ経由で伝わったようです。そのため、オクラの別名を「アメリカねり」と言うこともあるそうです。
奈良特産品のひもとうがらしも添えて供します。
ガラスのお皿をキンキンに冷やし、クールにそして爽やかに召し上がって頂きます。
表面には深い切込みが入ります。
産毛もびっしりと生えていますね。オクラの下処理では、表面に塩をこすり付けて産毛を取り除きます。舌触りがあまり良くないために施す一手間なのですが、ダビデの星に塩を擦り込む際には角が取れないよう注意が必要ですね。
ダビデの星。
絶妙のネーミングが、この野菜を表舞台に引っ張り出す日が来るのかもしれませんね。
そうあって欲しいと思える食材です。
赤オクラは火を通すと、せっかくの赤い色を失ってしまいます。紫とうがらしも火を通せば、せっかくの紫色を失うのです。その点、特異な形状をしたダビデの星は熱による変化がありません。熱によってその特性を失うことがないのです。
かき揚げもいいですが、デザートの材料にもなるのではないでしょうか。
<オクラの関連情報>