寒い冬に体の芯から温まる柚子蒸し。
通常の茶碗蒸しでは味わえない、柚子の贅沢な香りが体全体を包み込みます。お風呂に入れたり、吸い口や煮物の天盛りにしたりとその用途の広さで人気の柚子ですが、姿そのものを愛でながら頂ける柚子蒸しは最高のおもてなしです。
柚子蒸し。
つい先ごろまで青い実をしていた柚子ですが、11月下旬頃から黄色い実の柚子が出回り始めました。柚子の香りを嗅ぐと、なぜか昔の記憶が蘇ります。
酸味と旨味を味わい尽くす黄ユズ
柚子を見ると、まずは酸っぱいイメージが湧いてきますが、黄色く成熟した黄柚子は酸っぱいばかりではなく、旨味も十分に含んでいるのです。だからこそ美味しい、と言えるのかもしれません。
披露宴会場に届いた会場装花。
柚子蒸しに料理する時は、まずは柚子釜作りから始まります。中身をくり抜くわけですが、その際に皮の内側に付いている白いワタは取り除きます。苦味の元になるワタは取り除くのがお決まりです。穴を開けないように慎重に除きます。柚子の中には勿論、果汁たっぷりの身が詰まっていますので、その身は取り除いたらすぐに絞って他の用途に用います。その予定のない時はそのまま口に放り込みます(笑)
顔をしかめるほど酸っぱいのですが、これがまた冬の醍醐味でもあります。
柚子汁は取り出したらすぐに絞ります。
そのまま放置しておくと、なぜか搾り汁の量が激減してしまいます。不思議なものですね。経験上、そのことを知っているのですぐに絞り出すようにしています。
柚子の出回る時期には、必ず柚子味噌を作るようにもしています。
自家製の胡麻豆腐などにかけて供します。
概ね12月から3月頃にかけて市場に出回る黄ユズですが、日本料理には欠かせない食材です。冬はお鍋のシーズンでもありますが、ポン酢に柚子が入っているだけでワンランクアップした味が楽しめますね。