蓮の見頃を迎える盛夏の候、カメラ片手に藤原宮跡に向かう人も多いのではないでしょうか。
ハスの花に魅かれる人たち。
午前中の藤原宮跡蓮ゾーンには、数多くのカメラ愛好家の姿が見られます。
開花した蓮の花の向こうに畝傍山を望みます。
大和三山に囲まれた藤原宮跡は、季節ごとに様々なお花畑が楽しめる花見スポットでもあります。
春には菜の花と桜、夏になると蓮やキバナコスモス、そして秋には一面のコスモス畑が広がります。邪魔する建物など何もなく、ただただ広い敷地内に満開の花々が咲き誇る様子は圧巻の一言に尽きます。
休憩用木製ベンチと品種の見分け方
藤原宮跡の蓮ゾーンは、宮跡内の菜の花畑やコスモス畑に比べるとこぢんまりしたものです。
しかしながら、広大な藤原宮跡の一角には様々な種類の蓮が開花します。中国古代蓮、碧台蓮、大賀蓮等々、素人目には判断がつきにくいのですが、多種多様な蓮の品種を楽しむことができます。
蓮池の畔に三脚を立てて、撮影に臨んでおられますね。
ここは広大な藤原宮跡です。神社やお寺の境内ではありませんので、三脚の使用も許可されているようです。やはり蓮の花の背景に畝傍山、天の香具山、耳成山の大和三山を入れるのがお決まりでしょうか。
天の香具山を背景に咲く蓮の花。
山には「山容」というものがあります。平坦な印象の香具山よりも、その姿が美しい畝傍山の方を好む人も多いのではないでしょうか。耳成山は左右対称で、どこか人工的な印象を受けてしまいます。その点、左右非対称で少し傾げたような姿の畝傍山に、被写体としては軍配が上がるような気が致します。
皇居和蓮(こうきょわばす)。
皇居の蓮池に自生している蓮なんだそうです。「こうきょわれん」と呼ぶこともあります。古代蓮の系統で、小型種に属するようです。
「皇居和蓮」と記された表札の周りを探してみるのですが、素人目にはどれが皇居和蓮なのかよく分かりません(笑) 写真と見比べてみるのですが、写真と同じように咲いている個体を見つけるのも大変でした。この表札と並ぶように様々な品種の蓮が植えられているのですが、はっきりとした境界線が存在しないこともあり、その違いを見分けるのは至難の業でした。
蓮池の脇にあった休憩用ベンチ。
ちょっとした雨宿りもできるようですね。
じっくり時間を取って観賞する際には重宝しそうです。お好きな方であれば、品種の違いに頭を悩ませながら、ここで蓮図鑑でも開いて見比べてみるのでしょうか。
大きな葉っぱも蓮の魅力を引き立てます。
花が隠れて見えなくなってしまうほどの大きさです。
開花を待つ蕾もまたイイですね。
蕾の向こうには、藤原宮跡を象徴する朱色の柱と畝傍山が見えています。象鼻杯なんていう洒落た演出がありますが、この大きな葉っぱを見れば誰しも体験してみたくなるというものです。
橿原警察署の注意看板
藤原京は後の平城京よりも広かったと言います。
とにかく広大な面積を誇ります。昼間ならまだしも、夜間に藤原宮跡を歩くのは危険なんだろうなと思わせます。
痴漢・誘拐に注意!
なるほど、確かにそうなんだろうと頷きます。
辺りには街灯らしきものも見当たりません。世界遺産登録を目指している場所ですから、近代的なものを易々と取り入れるわけにもいきませんからね。もちろん、防犯カメラの設置も無理なことだと思われます。
藤原宮跡に立ち入る際は、皆さんくれぐれも注意しましょう。
バックに畝傍山を捉えます。
それにしても、見事なグラデーションですね。
こちらは法華寺蓮なんだそうです。
辛うじて判別することができました。
今夏は奈良市内で十輪院の蓮も見て参りましたが、やはり藤原宮跡のお花畑は規模が違います。菜の花畑やコスモス畑に比べて狭いとはいえ、そこは藤原宮跡の敷地内です。十輪院の蓮池の比ではありません。
藤原宮跡の駐車場。
藤原宮跡の駐車場は複数用意されており、藤原京資料室横の駐車場がよく知られています。大和長寿道の道沿いにあることもあり、利用される方も多いものと思われます。しかしながら、蓮を観賞する際にはここの駐車場が最寄りとなります。
「花園見学者駐車場」と案内されています。
駐車場に車を停め、北へ徒歩数分で蓮ゾーンにアクセスします。
蓮ゾーン側から撮影。
矢印の方向へ向かえば、花園見学者駐車場へと戻ることになります。右手に見えているのは畝傍山ですね。
朝堂院東門が赤い印で案内されています。
奈良文化財研究所の調査によって、その存在が確認されたようです。綺麗に区画整備されていた様子が浮かび上がります。
朝堂院東門の案内板。
藤原宮跡内の所々で、このような案内板を見ることができます。あまりにも広い場所のため、今居る場所がどこなのかよく分からなくなるのですが、こういった案内があるとありがたいですね。
改めて思いますが、藤原宮跡は奈良県屈指の蓮の名所ではないでしょうか。