まるでカワハギのような皮を持つニザダイ(仁座鯛)。
真鯛のようなウロコは無く、身ぐるみ引っ剥がすことのできる皮に覆われています。珍しい魚故、いつもどのように捌けばいいのか迷うのですが、自分なりの回答を得ましたので記録しておきます。
ニザダイの刺身。
鮭と栄螺を両脇に配し、野菜の飾り切りで供します。
ニザダイと言えば、磯臭いことで知られます。ニザダイの旬は冬で、まだ寒さの残る時期であれば美味しく頂くことができます。あまりに磯臭い個体は別ですが、ムニエルやフライにすれば十分に利用価値があります。秋刀魚の不漁が記憶に新しいところですが、海洋資源は有限です。持続可能なSDGsの流れに従い、積極的に食していきたい食材の一つですね。
捌く手順!尾柄の骨質板を削いで三枚卸し
カワハギなどは最初に皮を剥ぎ取ります。
結論から言って、ニザダイは普通に三枚おろしでいいと思います。ノーマルな三枚おろしの前に、尾柄部分の突起物を削ぎ落しておくとなお良しです。削ぎ落さずにそのまま卸し、皮を引く段階で除く方法もありますがあまりおすすめできません。
ニザダイ。
尾柄部分に4本の横縞模様が入っていますね。黒い横縞からはニョキッと棘のようなものが出ています。真上から見ると、非常に体高の高い魚であることが分かります。
尾柄部の横縞が”三の字”に見えることから、「サンノジ」の別名を持ちます。前回捌いた時も思ったのですが、実際には三本ではなく四本の横縞であることが多いように思います。
ニザダイの骨質板。
鋭い突起物!これは危険ですね。水洗いの際は注意が必要です。
怪我をしないためにも、まずはこの骨質板を取り除くことから始めるのがいいでしょう。アジのぜいごを取るように、ニザダイの骨質板を削ぎ落します。少々身をこそげてしまいますが、問題無いと思います。カワハギのように皮を剥いでも、この棘は身の部分に残ってしまいます。
削ぎ落しました。
あとは通常の三枚おろしへと移ります。骨や皮が硬い魚ですので、比較的卸しやすいと思います。
ニザダイと真鯛。
事あるごとに磯臭いと毛嫌いされがちですが、安易な先入観は持たない方がいいでしょう。生息環境や季節によっては、非常に美味しい魚です。
このおちょぼ口、どこかカワハギに似ていますね。
身ぐるみ皮を引きはがしたこともありますが、カワハギよりは剥がしにくかったのを思い出します。
ニザダイの中骨。
骨からも美味しい出汁が出るようです。
今回は平造りにしてみましたが、薄造りにも向いている魚です。
ウロコ取りの不要な魚です。
歩留まりにも優れていますので、積極的に購入して色々試してみましょう。