産直市場へ刺身の材料になる新鮮な魚を探しに行きました。
鮮魚コーナーで「三の字はぎ」と書かれた魚が目に入ります。
これはニザダイ(仁座鯛)のことではないかとお店の人に聞いてみたら、やはりその正体はニザダイでした。
三の字はぎの別名を持つニザダイ。
同窓会予約のお客様から、白身魚のお造りの注文が入っていました。
同窓会と言えば、大人数の宴会になる場合が多いのですが、今回の同窓会はこぢんまりとした少人数の集まりでした。まずはお客様のご希望に叶った魚を入手することができました。
突き出る硬い骨質板
サンノジ、サンノジとも呼ばれるニザダイ。
ムニエルや洗いにも適した魚で、磯魚の代表格でもあります。
ニザダイのことをなぜ三の字はぎと言うのか?
その理由は写真をご覧頂ければ一目瞭然です。
尾っぽの付け根のところに、3つの硬い骨質板が突き出ています。三の字はぎの名前の由来ですね。
そもそもニザダイは、スズキ目ニザダイ科に属する魚で、決してハギの仲間ではありません。しかしながら、その見た目はカワハギ(フグ目)にそっくりです。その身も、カワハギのように硬い皮に覆われています。
ニザダイの刺身。
薄造りにしても美味であろうと思わせる上質の白身です。
これは旨い!夏のニザダイは臭さが気になりますが、冬に旬を迎えるニザダイは寒くなってくるにつれて美味しさを増します。同窓会でお越し頂いたお客様にも好評でした。
大正楼の中庭。
産直市場では「三の字はぎ」と表記されていましたが、他にも「三の字鯛」、「ニザハゲ」、「カッパハゲ」などの別名を持ちます。そう言われてみれば、ニザダイはの顔を見れば見るほど、どこか河童の顔が重なってくるのを感じます(笑)
ニザダイの英名は、Scalpel sawtail と言います。
Scalpel とは外科用メスのことで、sawtail は鋸の尾を意味しています。どちらも取り扱い要注意を思わせる言葉ですよね。それもそのはず、尾柄部にある三つの骨質板は非常に硬く、漁獲の際には細心の注意が必要です。
私も三枚おろしの際に、骨質板だけを包丁で削ぎ落とそうと試みましたが、あまりに硬くて断念致しました。名は体を表すとは正しくこのことです。
大正楼玄関口の虎の彫り物。
ニザダイの「にざ」は、「新背(にいせ)」から転訛しています。
新背とは、新しく大人の仲間入りを果たした若者のことを意味します。無事に通過儀礼を終えた若者とでも申しましょうか、いわゆる青二才の、まだまだ未熟な若造のことを指します。
つまり、”やっと鯛の仲間入りを果たした鯛” のことをニザダイと言うわけです。
大相撲の世界で言えば、やっと十両から幕内に上がった力士の番付のことを「幕尻(まくじり)」と表現しますが、前頭13枚目ぐらいの幕尻に位置するのがニザダイということになるでしょうか。
幕尻の鯛とは思えぬ、真鯛をも凌ぐその美味しさに脱帽です。
見た目もマダイとそう変わりないように思えます。養殖の鯛に比べれば、明らかにその濃い朱色の縞模様が印象的です。
尾っぽにその特徴を持つニザダイ(三の字はぎ)。
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