高級魚の石鯛。
この日入荷したイシダイも、成熟して口の周りが黒くなった”クチグロ”でした。石鯛の中でも上物とされ、高値で取引されます。石鯛と白ミル貝(ナミガイ)、ヒラマサ、鰺、栄螺、イクラ、イサキなどを盛り込みます。
石鯛と白ミル貝の姿造り。
大根と人参で花を咲かせ、季節のワラビ大根を胸びれに掛けます。お洒落を意識したイヤリングのようにも見えます。硬い物を噛み砕く石鯛の歯が剥き出しになり、上空を見上げます。
コリコリした食感の白ミル貝!アジ科ブリ属のヒラマサ
石鯛に添える主役は白ミル貝です。
その貝殻の模様から、正式名称を波貝(ナミガイ)と言います。
本ミルほど値は張りませんが、つぶ貝のようにコリコリした食感がクセになります。
白ミル貝。
貝殻から飛び出た水管を食用にします。
見た目は少しグロテスクですが、なかなかの美味です。貝殻に収まり切らないところが、何とも不思議ですね。水管は一旦湯通しし、氷水に取ります。水管を覆う薄皮を取り除いてから、好みのお造りにします。
手前に盛られているのが白ミル貝とヒラマサです。
刺身に引いた新鮮な白ミル貝を、俎板の上に叩き付けます。キュッと縮んだ身を貝殻に盛り付けました。
石鯛と鰺。
前回捌いたイシダイは全体的に黒っぽい色合いでした。今回の個体は、尾びれに近い横縞模様が鮮明に残っています。全体的に白味が残り、口先の黒がより際立っています。
石鯛は背側も腹側も丸味を帯びた形状です。
エンガワもしっかり付いていますので、三枚おろしにする際は弧を描くように包丁を走らせます。
「クチグロ」の名にふさわしい石鯛。
キロ単価2,800円の上物でした。1.6kgの石鯛でしたので、この一尾で5,000円弱です。魚体によく目を凝らすと、胸鰭の付け根やえらぶた周りも黒いことが分かりますね。
硬く締まった石鯛の白身。
真上からの撮影を試みると、なぜかカメラの紐が写り込んでしまいました(笑)
ヒラマサ。
縦一直線に黄色い帯模様が入っていますね。
スズキ目アジ科ブリ属に分類される魚で、見た目は鰤(ぶり)とよく似ています。ブリに比べるとやや平べったい魚体です。
白ミル貝とヒラマサの刺身。
ナミガイの貝殻はとても割れやすいです。厚みのない殻ですので、処理の際は注意が必要です。
石鯛の背ビレと尻ビレ。
こういう形の鰭(ひれ)は石鯛ならではですね。
石鯛の幼魚であるサンバソウの名残を感じる縞模様です。
石鯛とよく似た魚に石垣鯛がいますが、自然界でも二種のハーフが時折見られるようです。イシダイの縞模様にイシガキダイの斑点模様が合体したような模様が浮かび上がり、一目で掛け合わせであることが分かります。残念ながら雑種のため、生殖能力は持たないことで知られます。
やはり石鯛はイシダイ、石垣鯛はイシガキダイとして繁栄していくのが自然の摂理なのでしょう。