冬が旬の氷下魚(コマイ)。
大きい括りで言えばタラのことですが、真鱈(マダラ)に比べれば小振りでスマートな魚です。干物のコマイはよく目にするのですが、珍しく鮮魚の状態で入荷致しました。
氷下魚(コマイ)。
「氷下魚」という漢字表記が気になりますね。
名前の由来は、氷の下で生息しているコマイを釣り上げることからきています。結氷するような海水で生きているのか!その逞しい生命力にあやかりたい気持ちにもなります。根室湾などでは結氷した氷を割って穴を穿ち、その下にいるコマイを釣り上げるんだそうです。
下顎のヒゲが短いのが特徴
コマイとマダラの区別はどうやって付けるのか?
その見分け方は下顎に伸びている髭(ひげ)です。ヒゲの長短で判別することができます。マダラの下顎のひげは瞳孔径とほぼ同じ長さですが、コマイは短いのが特徴です。
氷下魚子(こまいこ;コマイの卵巣)。
実に繊細で深い味わいでした。煮付けが一番美味しいでしょうね、タラコにも引けと取らない食材です。
私たちがよく目にするタラ子はスケトウダラの真子(卵巣)です。スケトウダラも大別すればタラの一種ということになりますが、厳密に言えばタラは ”真鱈” のことを指しています。なんだかややこしい話ですが、要するにタラとはマダラ、コマイ、スケトウダラの総称なのです。
コマイの下顎のひげ。
随分細くて短いですね。真鱈のようなふてぶてしさは感じられません。申し訳なさそうにチョロンと生えています。
蛇籠蓮根生ハム巻き。
コマイと同じく、冬を代表する食材の蓮根。泥の中で滋味を蓄え、美しい花を咲かせる蓮は仏教界からも熱いまなざしを注がれます。先を見通せる穴も、蓮根人気を支える一つの要因だと思われます。いわゆるゲン担ぎ食材ですね。
コマイの尾びれ。
スケトウダラの尾びれの先は二つに割れていますが、コマイの尾びれには大きな切れ目が見られません。
コマイの血液中には、マイナス温度でも凍らない物質が含まれているそうです。
そりゃそうですよね、血液が凍ってしまったのでは生命体を維持することはできません。厳冬下でも体中に循環させる秘密兵器を持ち合わせています。極寒の地に生きる人たちにとっても、重要な栄養源になっているのかもしれません。私たち人間も体中に血液を巡らせる必要があるのです。その際、コマイが役立っているとしたら面白い話ではないでしょうか。
大正楼大広間。
真鱈の白子も最近はよく市場で見かけます。酢の物や椀種にも珍重される雲子(くもこ)と呼ばれる食材・・・舌触りがねっとりしていて、独特のコクがあります。
異常に短い下顎のヒゲ。
体表はちょっとヌルヌルした感じです。タラ類に見られる共通の特徴ですね。
コマイの白子。
真子だけではなく、白子もお腹の中に入っていました!
真鱈ほど入り組んではいませんが、やはり脳味噌を想像してしまいますね(笑)
<珍しい魚の料理案内>