晩秋から冬にかけて旬を迎えるホウボウ。
「這う魚」として知られ、方々歩き回るところからホウボウと名付けられたようです。
カサゴ目ホウボウ科に属する魚で、その白身は鯛にも匹敵するぐらいの美味しさです。
ホウボウの最大の特徴は、何と言っても大きく広がる胸ビレです。
よく見てみると、胸びれの付け根下側に3対の軟条が出ています。紐状に赤く伸びた軟条を脚のように動かして海底を歩きます。感覚器官の役目も担い、ホウボウにとっては無くてはならない部位となっています。
お食い初めにも使われる”鳴く魚”
ホウボウは漢字で「魴鮄」と書きます。
半円状に広がる綺麗な胸鰭を持ち、姿造りにするとよく映えます。飛魚やアイナメなども大きな胸鰭を持ちますが、ホウボウのそれは鮮やかな青緑色です。
羽を広げるホウボウ!
鯛や金目鯛と同じく、お食い初めの食材としても重用されます。
昔からホウボウの味の良さは有名で、江戸時代には「君の魚」と呼ばれ上流階級に好まれました。
ホウボウの中骨。
弓のようにしなっています。
頭に近いほど頑丈で太い骨が通ります。骨抜きでグイっと引き抜くのですが、これだけカーブを描く中骨は珍しいでしょう。
やはりホウボウは刺身で頂くに限ります。焼魚にすると、かなり身が締まってしまいます。捌いた後のアラからはいい出汁が出ます。ホウボウと言えばブイヤベースですから、骨の髄まで使い切るようにしましょう。
四角い頭。
ホウボウは浮き袋を振動させて「グググ、グーグー」と鳴きます。この硬くて四角い頭も、音の振動に一役買っているのではないでしょうか。
独特な顔をしています。
浮き袋や肝も大変美味です。
かつては高級魚だったホウボウですが、最近では比較的お手頃価格で出回ります。
これから冬にかけて益々脂がのってくるホウボウ。
大型のホウボウが入荷すれば、迷わず積極的に献立に加えていこうと思います。