ホウボウの姿盛りは”胸鰭”が物を言います。
海底を這うように進むホウボウにちなみ、お皿に這わせるように盛り付けてみました。いつもとは趣向が違いますが、ホウボウならではの盛り付け方です。
ホウボウの姿造り。
特徴的な青緑色の胸びれを最大限に活かします。やはり水平方向に広げるのが妥当でしょう。お皿にペタリとくっ付け、少し水を垂らして乾燥を防ぎます。本来であれば立体的に盛り付けるのが鉄則ですが、ホウボウに関しては事情が違います。こんな盛り付け方があってもいいのではないでしょうか。
美しいキミウオの胸鰭!自然界の贈り物
ホウボウには別名が幾つかあります。
古くから上質の白身は好んで食べられていたようで、江戸時代には「君の魚」と呼ばれていました。上流階級の食べ物だったわけですね。身質もさることながら、その美しい胸ビレにも品の良さを感じさせます。
胸びれには青い斑点が見られます。
斑点の周りは緑色で、半円形を描く胸びれの先は紺の縁取りです。色のグラデーションが実に綺麗です。今回のホウボウの姿造りは、ご宿泊のお客様にお出ししました。
ちょうどこの日は、ご婚礼の会食も重なりました。
伊勢海老や鮑などの高級食材が並びます。素敵な高砂装花も準備され、次々と料理が配膳されます。
こういうぺちゃッとした盛り付けもいいものですね。
常道ばかりでは飽きてしまいます。旭山動物園の行動展示ではありませんが、その魚に合った盛り付けを心掛けてみるのも面白そうです。
婚礼料理の先付。
ゲストテーブルの上にも装花を飾ります。
ちょっとお皿が小さかったですね。
胸鰭が皿の外へ飛び出してしまいました。
真正面から。
どことなくカナガシラに似ています。
ホウボウとカナガシラの違いは、やはり大きくて美しい胸鰭でしょう。カナガシラの胸鰭はホウボウほど大きくはなく、模様も地味です。さらにホウボウの鱗は小さいですが、カナガシラの鱗は網目にしっかり付いています。
実はホウボウ、こう見えてスズキ目の魚です。スズキ目ホウボウ科に属しているようで、さすがは”大所帯のスズキ目”を実感します。