美しい魚体のメンドリ。
メンドリって何?とおっしゃる方も多いでしょう。
メンドリとはスズキ目ヒメジ科に属する魚で、正式名称を海緋鯉(うみひごい)と言います。海に生息する、まるで緋鯉のような海魚という意味で名付けられています。
メンドリ(海緋鯉)のあごの部分に見られるヒゲ。
この髭(ひげ)を見る限り、海底に棲息していることがうかがえますね。
冬が旬!髭センサーを持つウミヒゴイ
メンドリを特徴づけるヒゲ。
このヒゲはメンドリが生きていくために大変役立っています。海底の砂場に隠れたエサを探し当てるためのセンサーの役割を果たしているのです。
メンドリの焼き霜造り。
赤い色をした魚はとても綺麗です。その色合いと皮の風味を生かすために、バーナーで皮目に火を入れた後すぐに氷水に取ります。水分を拭き取って、皮ごと刺身包丁で引いて盛り付けます。
ウミヒゴイという正式名称を持ちながら、メンドリやクチヒゲといった別名も持ち合わせます。
メンドリは冬に旬を迎える魚で、寒くなってくると皮下に脂がのります。オジサンともよく似ていますが、体が少し大きめでしょうか。フランスではルージェと呼ばれる高級魚として珍重されます。
柔らかくてクセの無い白身はとても美味しく、刺身の他にも煮付けなどの調理法に向いています。
メンドリの鱗(うろこ)。
鯛の鱗よりも明らかに大きいですね。出刃包丁でメンドリの鱗を取ることは難しく、調理道具の鱗取り(うろことり)の出番となります。うろこを取るのに少し手間取りましたが、それだけメンドリが深い岩場に生息しているということでしょうか。
メンドリの尾っぽ。
尾の付け根の背中の方に黒いあざのようなものが見えます。
鯛の焼き霜造りも見た目が綺麗ですが、メンドリもなかなか見栄えがします。
ヒメジの仲間はよく蒲鉾の材料にもなりますが、こうやってお造りにしてみても美味しく頂けます。漁獲量はあまり多くないと言われますが、そんな中で入荷してくれたメンドリに感謝です。
メンドリの全身写真。
仕入れ値はおよそ1,000円ほどでした。
ひげセンサーを使って生きる糧を探し当てるメンドリは、まさしく”地に足の付いた”魚ですね。刺身で頂けたことに感謝し、海洋資源の裾野の広さを改めて感じた次第です。