関西での呼び名は「ぐじ」。
冬に旬を迎える甘鯛(あまだい)は、ねっとりした白身がとても美味しい高級魚です。新鮮なアマダイが入荷したので、舟盛り料理でお出しすることにしました。
アマダイの姿造り。
皮を付けたままの焼霜造りと、皮を引いた白身を並べます。寒ブリやイクラも盛り込んで、野菜の飾り切りで演出します。
三角形の白い筋!赤甘鯛の見分け方
甘鯛は3種類に分別されます。
白甘鯛(シロアマダイ)、赤甘鯛(アカアマダイ)、黄甘鯛(キアマダイ)の三種類が出回っています。一番大きくて味の良いシロアマダイは”超”の付く高級魚で、「シラカワ」の別名を持ちます。目にする機会はほぼ皆無で、一般的に甘鯛と言えば「赤甘鯛」を指します。
赤甘鯛(アカアマダイ)。
今回仕入れたのも、最もポピュラーなアカアマダイです。
目の後ろに三角形の白い筋があり、アカアマダイの目印にもなっています。体の側面に目をやると、中央部分に黄色い横縞模様がありますね。この縞模様もアカアマダイを見分ける際のポイントです。いずれにしても頭部の色合いを見れば、大体の見当は付きます。シロアマダイは白っぽく、キアマダイは黄色っぽいのが特徴です。
胸元に胡瓜の羽根扇を添えます。
関西エリアでは「若狭ぐじ」がよく知られていますが、若狭湾で獲れたアカアマダイの一塩もののことを言います。甘鯛は水分の多い魚故、いかに水分を抜いて料理するかが重要になってきます。
目の後ろの白い筋がはっきり確認できますね。
入荷したその日に料理するのではなく、一旦内臓を取ってからキッチンペーパーでくるみ、ラップで空気を遮断し一晩冷蔵庫で寝かせました。
アカアマダイの姿造りと大正楼中庭。
アカアマダイに比べ、目にすることの少ない黄アマダイですが、活けものが市場に出回ることも稀なようです。
やや小ぶりで、他の甘鯛に比べると味も劣ります。それを補うため、干物にすると一転して旨味が増します。静岡の「興津鯛(おきつだい)」という生干しは、黄アマダイを材料にしているようです。
上品な白身は蒸し物にも向いています。
頭とカマを蒸し上げた「甘鯛の骨蒸し(こつむし)」は定番料理の一つですね。
縒り人参や唐草大根で飾りり立てます。
刺身で頂く機会の少ない甘鯛ですが、新鮮なものはお造りで頂くのがベストです。
若狭湾をはじめ、山口県、長崎県などの日本海で獲れる魚です。
甘鯛はウロコが美味しいことでも知られます。
本場の若狭焼きを一度食してみたいなと思います。
ウロコを付けたまま開き身にし、そこに塩を振って鱗がカラカラになるまで干します。ウロコ付きの干物を焼けば、若狭焼きの完成です。
刺身で頂く際は、塩をしてから昆布締めにするのもいいでしょうね。色んな食べ方のある甘鯛は、それだけ庶民に愛されているということなのでしょう。