奈良国立博物館の中でも人気の仏像です。
かつて京都東山の若王子社に伝わったという薬師如来。異国情緒漂う尊顔に、流れるような衣文が特徴です。
横から拝する国宝・薬師如来坐像。
美しい横顔をなさっています。仏の特徴である大きな耳、やや丸みを帯びた背中、ゆったりと坐すそのお姿から“国宝”の名にふさわしい威厳を感じます。薬師如来坐像の向こうには、同じく国宝の辟邪絵(へきじゃえ)・神虫(しんちゅう)が見えていますね。
榧の一木造!9世紀の国宝仏
若王子社伝来の国宝仏。
両手首先や螺髪(らほつ)を除き、台座蓮肉部までを含めて榧(カヤ)の一材から造られています。内刳(うちぐり)は行われていないようです。
よく見ると、指先は失われているようですね。
左手には薬壺を乗せていたのでしょうか。平安時代、9世紀の仏像とされます。
国宝薬師如来坐像の解説。
木造 彩色・漆箔(現状) 平安時代(9世紀)
明治時代初頭まで京都東山の若王子社に伝わった。彫りの深い顔立ちや、衣のひだの鋭い彫りに檀像の特色が顕著である。膝が台座からはみ出す表現や、衣のひだの彫り方は京都・東寺講堂の諸像とよく似ている。
奈良公園の鹿。
8月半ばに撮影した鹿です。鹿も文化財の一つで、国の天然記念物に指定されています。
大威徳明王騎牛像。
平安時代、12世紀の銅造仏です。奈良博公式キャラクター「ざんまいず」の一角、「ぎゅーたろ」のモチーフにもなっています。
全体的に穏やかな雰囲気を醸していますね。
西の方角の阿弥陀如来に対し、東の薬師如来は現世利益に寄与します。
あの世の阿弥陀に対する“この世の薬師”。
人生100年時代を迎え、世界でも類を見ないスピードで進む日本の高齢化。健康を願う気持ちは今も昔も変わりませんが、否応なく健やかな体を祈願する人々も増えていくことでしょう。
薬師如来の存在感が増していくものと思われます。