なら歴史芸術文化村で学ぶ仏像の作り方。
昨春オープンの際には、玉眼の入れ方などが展示されていました。今回訪れた文化財修復・展示棟では、聖林寺十一面観音の工程模型が案内されています。国宝の第一号指定を受けた人気の仏像です。十一面のお顔をまじまじと見学できる機会も滅多にありません。有意義な時間を過ごすことが出来ました。
聖林寺十一面観音の工程模型。
観音様の頭上に乗っかる様々な表情の仏頭。なかなかニヒルな顔立ちです(笑)
心木から木屎(こくそ)盛り上げ、復元へと至るプロセス
仏像作りには段階があるようです。
完成に至るまで、決められた工程を経ながらの作業になります。
左から心木(しんぎ)、木屎(こくそ)盛り上げ、復元と続きます。
木心乾漆像である十一面観音の基礎となる “素のお姿” が、一番左の工程ということなのでしょう。その横の「木屎(こくそ)」とは、古来の技法を表しています。素材の傷やヒビ割れを補修するために用いられた技法で、粒の細かい木の粉と飯(炊いた米)をよくすり潰し、練り合わせて作ります。その木屎(こくそ)で盛り上げた姿が真ん中の仏頭なのでしょう。
最後に復元された仏頭は黄金に輝いています。一般的に螺髪は青色だったようです。
木屎(こくそ)盛り上げの工程。
正面向かって左側の仏頭です。牙を出していますね。
十一面観音の表情には、決まった型があるようです。正面に穏やかな顔立ちの面三面、左(向かって右)に憤怒の面三面、右(向かって左)に牙を出した面三面、背面には大きく笑った面一面があります。
エントランス奥の薬師寺東塔模型。
美しい裳階(もこし)が再現されていました。
懸魚。
寺社建築の妻に見られる意匠ですね。ハート形の穴から察するに、猪目懸魚でしょうか。
頭の一番上、頭頂に乗る如来面(仏面)です。
何かを悟ったかのように瞑想しています。
観音様がお立ちになる台座。
ハスを象った蓮坐ですね。
こちらは憤怒の面。
一番てっぺんの如来面とは、明らかに表情が違います。怖い!
色んな角度から楽しめる『なら歴史芸術文化村』。
新たなスタイルで登場した天理市の観光施設です。道の駅も併設されており、車中泊も可能なようです。シャワー室完備のサイクルステーションがあるのも嬉しいですね。