大安寺の境内に、乳癌治癒の記念塚があります。
その名を「美流孔塚(みるくづか)」と言います。キノコのような形で土台の上に建っています。癌封じの寺として知られる大安寺ですが、乳癌治癒を祈願する参詣者も多いことでしょう。
大安寺美流孔塚と本堂。
ミルク塚という名前がいいですよね。乳房の形を模しており、ちょこんと台座の上に建立されていました。
竹林の『いのちの小径』に佇む乳房
美流孔塚のある場所は、境内の『いのちの小径』の中です。
ちょうどその出口付近に建立されており、竹林の隙間から本堂を望みます。
大安寺の美流孔塚。
乳房の上には乳頭も見られますね。おそらくその下の丸い石も美流孔塚の一部なのでしょう。一番下の大きな石が台座になるものと思われます。上手い具合にバランスが保たれているのが分かります。
こちらは『いのちの小径』の入口付近。
飛び石を伝いながら進むと、右手に「いのちの碑」が現れます。心臓病を支えるペースメーカーが埋め込まれているそうです。癒しの竹林の中に、人の命を見守り続ける記念碑が建立されていました。
竹のベンチと大安寺本堂。
古来より竹の恩恵に浴してきた我々日本人。節目を作りながら真っ直ぐに伸びる竹は、縁起物としても重宝されています。竹炭の効能もあちこちで語られますよね。松竹梅にも列せられる竹・・・私たち日本人にとって欠かせないものであることに異論の余地はありません。
大安寺のリーフレット。
右から楊柳観音像、不空羂索観音像、多聞天像が並びます。
大安寺の本尊は十一面観音ですが、宝物殿の讃仰堂には不空羂索観音、聖観音、楊柳観音の天平観音仏3体が収められています。観音様には現世利益を祈願します。この世的な願い事の最たるものは、やはり病気平癒になるのでしょうか。
乳癌治癒の願いはきっと、御本尊の十一面観音をはじめ、奈良時代より人々を見守り続けてきた天平観音仏たちに届けられることでしょう。
乳頭の周りにお賽銭が奉納されていました。
早期発見・早期治療が重要とされる乳癌ですが、各地でピンクリボン運動も盛んに行われていますよね。予防が大切なのは言うまでもありませんが、自己検診や乳がん検診も声高に叫ばれています。
祈願方法ですが、美流孔塚を撫でて祈念するようです。
実際に乳癌を克服した女性が、報恩感謝の意味を込めて建立したと言います。
あやかりたいですね。
そもそも大安寺は、光仁会(こうにんえ)や竹供養などの癌封じイベントで知られる名刹です。乳癌を患っておられる方々の参詣を是非おすすめ致します。