高市郡高取町観覚寺にある子嶋寺をご案内致します。
高取城の遺構でも知られる子嶋寺ですが、何と言っても最大の見所は子嶋曼荼羅ではないでしょうか。
春先の子嶋寺。
阿部山にあるキトラ古墳を見学した後、子嶋寺に参詣して参りました。
子嶋寺は子嶋曼荼羅で有名です。
なんと国宝に指定されているそうです。
子嶋寺のような小さなお寺に国宝があるとは・・・ちょっと意外な事実でした。
現在、お寺にあるのは残念ながら4分の1の複製です。
本物は奈良国立博物館に寄託されています。
紫蘭が開花する子嶋寺境内
子嶋寺の本堂前には、初夏になると紫蘭(シラン)の花が開花します。
その名前は紫色の蘭であることに由来しますが、比較的湿気の感じられる場所に咲く花としても知られます。
子嶋寺に開花するシラン。
紫色の花には高貴な印象を受けます。
色を表す紫ですが、紫の語源は群がって咲くことに由来しています。あまり知られていないことですが、なるほどそう言われてみれば、シランの群生も実に見事なものです。子嶋寺で見れる紫蘭はほんの少しですが、ウェブ上には紫蘭の群生を映した写真が数多く見られます。
シランに出会えるとは思いもせずに、キトラ古墳の見学を終えた後にすぐ近くの子嶋寺の駐車場に車を停め、いざ子嶋寺へと向かいます。
その途中で子嶋寺の看板を見つけました。
写真を撮影した当時、子嶋寺は大和七福八宝めぐりのお寺として知られていました。大黒天が祀られていて、財宝の福宝を授かることができます。三輪の大神神社も、七福倍増の福宝が授かれる場所として、大和七福八宝めぐりの中に名を連ねています。現在の大黒天の霊場ですが、子嶋寺から長谷寺へと遷っていることを覚えておきましょう。
境内にあった観覚寺の旧標石。
子嶋寺の元の名を観覚寺といいます。
実はこの子嶋寺、長い歴史の中で3度も名前を変えているそうです。
子嶋寺の本堂前の香炉台。
凝った意匠が施されていますね。
子嶋寺の歴史を顧みれば、興福寺(法相宗)からやって来た真興(しんごう)という人が観覚寺を建立しているのが分かります。
一条天皇の時代に、天皇の病気平癒を祈願した真興に、褒美として与えられたのが子嶋曼荼羅なのです。
東寺、神護寺の曼荼羅と共に日本三大両界曼荼羅の中のひとつに数えられます。
子嶋寺の周りはひっそりと静まり返っています。
子嶋曼荼羅の情報をお知りになりたい方は、是非こちらのページをご参照下さい。
お寺の西側を、国道が走っていることなど感じさせない静寂の中にあります。
橿原神宮~岡寺~飛鳥~壷阪山 この辺りには古墳や遺跡が集中していますが、子嶋寺のような味のあるお寺も見逃せませんね。