ひまわりの見頃は8月上旬とされます。
生憎夏休み真っ只中の期間は、仕事柄外出がかないません。今回のひまわり観賞も、お盆を過ぎた8月16日となってしまいました。奈良県内でひまわりの名所はどこかなと探していたら、馬見丘陵公園が検索でヒットしました。
馬見丘陵公園の北エリア・彩りの広場に開花するひまわり。
ひまわりは夏の太陽をイメージさせる花です。太陽の似姿そのままに、私たちの目を楽しませてくれるヒマワリに感謝ですね。とにかく見ているだけで元気になる有り難い花です。
一口に向日葵と言っても、様々な種類があるようです。
馬見丘陵公園の園内4箇所に6品種のヒマワリが植えられています。その数なんと、4万株!当館からも車を走らせて片道20分の距離です。来年は是非、仕事の合間を縫って満開のヒマワリを堪能したいと思います。
北エリアに開花するチョコレート色のひまわり
馬見丘陵公園中央エリアの花の道からトンネルを抜けて北エリアへと出ます。
すぐ左手におトイレがあって、そこを右手に曲がると珍しい色合いのひまわりが咲いていました。
チョコレート色のひまわりです。
向日葵のうなじと言うか、後ろ姿も趣が感じられますね。実に美しいグラデーションがかかっています。
表の顔はこんな感じです。
ちょうどこんな色の花をどこかで見たことがあるなと記憶を辿ると、安倍文殊院のチョコレートコスモスに行き着きました。チョコレート色のコスモスは栽培が難しいようですが、こちらのチョコレート色のヒマワリはその点どうなのでしょうか。
背丈もさほど高くはありません。
十分に目の前で楽しむことのできる品種のようです。
ひまわりの原産地は北アメリカとされます。
古代インカでは太陽神の象徴として神殿に彫刻されていた花です。やはり古代人もヒマワリを見て太陽をイメージしたようですね。漢字で向日葵と書くだけに、いつも太陽の方向を向いているのかなと思うのですが、実際のところは違うようです。必ずしも太陽の方向を向くとは限らないようです。
今年の夏は特に暑いですよね。
公園館の受付の方もおっしゃっていましたが、今年は猛暑が原因で見頃を過ぎるのが早かったようです。種を撒く時期や水やり等で調整が行われましたが、残念ながらその甲斐なく花の咲いている期間が短かったそうです。さっさと咲いて、さっさと萎んでしまったヒマワリ。この暑さの中では、さすがに向日葵も太陽にそっぽを向きたくなったのかもしれません。
馬見丘陵公園のヒマワリにアクセス
お盆明けの8月16日。
スペインからの宿泊客がチェックイン前にご到着になり、荷物を置いてそのまま観光におでかけになられました。お戻りは午後8時以降とお聞きし、これはチャンスと一路馬見丘陵公園へ車を走らせます。
当館から馬見丘陵公園へのアクセスには、田原本経由の県道14号線を利用します。
車の行く手左側に巣山古墳が見えています。
2023年度のひまわりウィークでは、巣山古墳の近くに夏の花畑エリアが設けられていました。
桜井方面から馬見丘陵公園への行き方ですが、県道14号から県道5号(大和高田斑鳩線)へ出た所を左に取ります。高田川沿いをしばらく進み、寺戸南の交差点で右折します。右手が馬見丘陵公園のメインの敷地で、左手に前方後円墳の巣山古墳が姿を現します。さらに進んで巣山古墳西の交差点を右折し、馬見丘陵公園の中央口駐車場に車を停めました。
出発前にヒマワリの咲くエリアを確認していなかったのですが、反対側の北口の駐車場に駐車した方が良かったかもしれません。ひまわりは北エリアの彩りの広場を中心に咲いていました。
馬見丘陵公園中央エリアの公園館。
休憩スペースにさるすべりの木が植えられていました。
公園館をぐるっと回り込んで「花の道」へと向かいます。
四季折々の景観が楽しめる花の道は、馬見丘陵公園の中でも一際華やかな場所です。4月の馬見丘陵公園はチューリップ一色でした。バラや菖蒲、それにダリアも楽しめる馬見丘陵公園はまさに花の楽園ですね。
開花するルドベキア。
花の道へ入って行くと、すぐ右手に見た目のインパクトで迫るルドベキアが咲いていました。
案内札に「タイガーアイ」と記されていますが、なるほど言い得て妙ですね。虎の目とも、出べそとも捉えられる(笑) その姿は実に印象的です。
ルドベキアもひまわりと同じく北アメリカ原産の花です。
英名を coneflower と言います。ルドベキアという名前は、スウェーデンの植物学者 O・ルドベックに由来しているようです。
中央エリアのひまわりは、その多くが枯れてしまった後でした。
でもまた、こういう姿に出会えるのも乙なものです。満開の花が美しいのは当然ですが、咲き終えた後の花にも言い知れぬ哀愁が漂います。
中央エリアから北エリアへ抜けるトンネル手前の道標。
チューリップの時期に訪れた際、ちょうどこの辺りに黄色い藤に似た花を見かけました。馬見丘陵公園のパンフレットを見てみると、その花がヨーロッパ原産のキングサリであることが分かりました。
北エリアへ抜けるトンネル。
トンネルの中はひんやりとして、8月の暑い太陽を一瞬だけ忘れさせてくれます。トンネルの中にはベンチが置かれ、ひまわりを見に来た人たちが休憩中でした。
北エリアのひまわり。
向こうに見える建物は、北エリアのおトイレです。ひまわりの手前にホースが出ているところを見ると、どうやらひまわりの水やり設備のようですね。
さすがに北エリアのひまわりは綺麗に咲いていました。
見頃を過ぎているとはいえ、まだまだ十分に楽しめる範囲内です。馬見丘陵公園のサンフラワーここにあり!といった感じです。
ひまわりの後ろ姿とキバナコスモス
今回のひまわり見学で思ったことがあります。
それは「後ろ姿が芸術的」ということです。
今まで気付かなかったヒマワリの一面です。
向日葵のガクの部分に相当するのでしょうか、鮮やかに波打つグリーンに目を奪われます。ひまわりの裏側にももう一つの顔がある、そう思わせてくれる一枚の写真です。
皆一斉に北エリアの駐車場方向を向いています。
背後からのひまわりも、これまた数が多いと圧巻です。
いいですね、実にイイ。
メラメラと燃える太陽が、その後ろ姿にも投影されています。
こちらのひまわりは、表の顔と裏の顔を同時に見せてくれています。
咲いている場所によって、概ね花の向きは統一されていましたが、このように違う方向を向いて咲くこともあるようです。
カフェの前のひまわりは、そろそろ終わりを迎えようとしています。
8月1日から9日にかけて馬見ひまわりウィークが催されていたようなのですが、おそらくその時は満開だったのだろうと思われます。イベント期間中のカフェでは、特別メニューの「ひまわりジェラートのパンケーキ」が出されていました。
集いの丘の芝生広場に、「しまおしくら」の案内が出ていました。
私がよく知る「おしくらまんじゅう」とは少しルールが違っているようですね(笑) 背中合わせで押し合うのではなく、前を向いて押し合う遊びのようです。なるほど、組んだ両手を離しても負けなのですね。
大型テントの手前にはキバナコスモスが咲いていました。
藤原宮跡で見たキバナコスモスが印象に残っていますが、馬見丘陵公園でもそろそろ季節は秋の装いです。
公園館に展示されていた乙女山古墳の全景写真。
航空写真で見てみると、乙女山古墳が帆立貝の形をしているのがよく分かります。改めて古墳見学は空からに尽きることを思わせます。地上からでは何が何だか分からないのです(笑) 局所を見ても全体像はつかめません。帆立貝式古墳と言ってもピンとこない部分があったのですが、この写真を見れば一目瞭然です。
ひまわりもキク科の花ですが、黄花コスモスも同じくキク科に属します。
キバナコスモスはいわゆる秋桜とは別物であることを付け加えておきます。楚々とした雰囲気の秋桜に比べ、どこか野性味を感じさせるキバナコスモス。メキシコやブラジルを原産地とし、その花言葉は「野生的な美しさ」です。
ひまわりの花言葉は、ずばり「光輝」です。
その立ち姿は、遍く周囲を照らす東大寺の毘盧遮那仏のようでもあります。希望の象徴ですね。
広陵町と河合町にまたがって広がる馬見丘陵公園は、花好きにはたまらない楽園です。花を楽しんだ後は、巣山古墳、ナガレ山古墳、乙女山古墳、倉塚古墳、一本松古墳、池上古墳等々の古墳見学もできます。
馬見丘陵公園に来るといつも、桜井市の箸墓古墳周辺も公園整備が進められないだろうかと思うのです。桜井市にも観光客を呼び寄せる歴史資産が十分に揃っています。馬見丘陵公園が大きなヒントになるのかもしれませんね。