平安神宮の北東方向、丸太町通沿いにウサギで人気の岡崎神社があります。
黒御影石のうさぎ像を目当てに子授け祈願に訪れる参拝客も多く、縁結びのご利益もあることから結婚式場としても知られるお社です。岡崎神社は真如堂や金戒光明寺のすぐ南方に位置しており、観光名所の集まるエリアとなっています。
岡崎神社の厄除子授兎。
岡崎神社の本殿右手前にある手水舎の中に鎮まります。月を仰ぎ、体に力を満たした兎とされます。王城鎮護の意味合いから、都の東の方角を守る目的で祀られた岡崎神社。東の方角を象徴する兎が、岡崎神社のシンボルとなった経緯がうかがえます。
縁結び安産厄除けのご利益
月を仰いで力を満たしたウサギ。
岡崎神社からさらに東方の哲学の道を北へ進むと、月見を楽しむために造られた言われる銀閣寺があります。銀閣寺の月待山や向月台はあまりにも有名ですよね。陽の太陽に対する陰の月。京の都の東方には、秘められた月のパワーが感じられます。
お守り授与所の手前の石段に、兎の雪だるまが見られました。
参拝客が作った雪だるまなのでしょうか。あるいはご神職の方が、雪の境内での歓迎を意味して作られたものなのでしょうか。
岡崎神社本殿の提灯にも兎がデザインされています。
兎は多産で知られます。安産子授けの神には相応しい動物なのです。
その昔、この辺りは野兎の生息地であったと伝えられます。うさぎが氏神様の使いとされ、古来より信奉を集めてきました。
京都の南方の大和にも、東の方角を象徴する兎が祀られています。大神神社のなでうさぎです。古来大和では、三輪山から日が昇り、二上山に日は沈むと言い伝えられてきました。東をシンボライズする三輪山に、西をシンボライズする二上山。なでうさぎを撫でるために、大神神社にお参りされる方も数多くいらっしゃいます。毎年秋に催される観月祭も、大神神社の呼び物の一つになっています。
本殿右手前の狛兎。
口を開けた阿形の狛兎で、雄を表しています。阿吽の呼吸で知られる阿形と吽形の狛犬ですが、岡崎神社では獅子ではなく兎が陣取ります。京都では狛犬に取って代わる様々な動物たちが神様を守護しています。猪、ネズミ、猿、鳶、兎など、実にバリエーションに富んでいます。私自身が申年生まれということもあり、大豊神社の狛猿にはひとかたならぬ愛着を覚えます。
岡崎神社の狛兎ですが、頭を撫でて縁結びや夫婦和合を祈願します。
こちらは本殿左手前の雌の狛兎。
誠に失礼ながら、ヒップラインが美しいですね(笑)
口元も実に可愛く造形されています。
狛兎よりさらに奥の本殿建物内には、向かって右に縁結び招き兎、左側には金運招き兎がそれぞれ手招きをしています。縁結び招き兎からさらに本殿右手に回り込むと、岡崎神社の結婚式場がありました。
平安神宮の東を北上し、東西に走る丸太町通に出ます。丸太町通を東へ歩いて行くと、程なく左手に岡崎神社の鳥居が見えて参ります。
岡崎神社の住所は、京都市左京区岡崎東天王町51番地です。平安京鎮護のために、桓武天皇が四方に建立した社の一つが岡崎神社です。東方鎮護の岡崎神社らしく、今でも東天王(ひがしてんのう)という地名が残されています。
岡崎神社の初詣。
今年は未年です。それでも境内は新年を祝う参拝客で賑わっていました。十二支の卯年には、おそらく数えきれないぐらいの初詣客が押し寄せるのではないでしょうか。
岡崎神社本殿。
鳥居をくぐって真っ直ぐ境内を進むと、突き当りに岡崎神社の本殿が佇みます。
こちらは「うさぎおみくじ」ですね。
可愛らしい兎がずらりと整列していました。思わずシャッターを切りたくなる瞬間です。
本殿前には、東天王・岡崎神社の絵馬が掲げられていました。
絵馬には当該神社のエキスが凝縮しています。見ているだけでも心が和みます。
黒い子授けうさぎ像の周りには、安産守護のお守りが掛けられていました。
これはやはり帯を表しているのでしょうか。
「平成10年 55年ぶり復元成」と書かれています。
黒光りする、いかにも高級そうな御影石ではないでしょうか。私は当初、「黒御影のうさぎ像」を神様の御影と捉えていました。まぁ、間違いではないのでしょうが、御影石だとは思いませんでした。唐招提寺の御影堂の記事でもご案内致しましたが、影でありながら影ではない、実物そのものを指す言葉の奥深さに触れました。
岡崎神社のうさぎは氏神様の使いということで、岡崎神社の眷属という位置付けになるのかもしれませんね。
こちらは月と兎の絵馬ですね。
うさぎ絵馬にも色々な種類が用意されているようです。
黒御影のうさぎ像を正面から撮影。
参拝方法ですが、水を掛けてお腹を擦り祈願します。お腹を撫でやすいように、直立して参拝客と向き合う黒い兎。子宝に恵まれ、安産にご利益のある厄除子授兎を見ているだけで、なぜかこちらがお月様になったような気分がして参りました。