奈良公園を散策中、植物季節観測の標本木になっているサルスベリを見つけました。
季節の進み具合を把握する上で、標本木は大変貴重なバロメーターの役割を担います。植物季節観測には、梅、桜、紫陽花、銀杏、楓などが知られますが、百日紅(さるすべり)も植物季節観測の一翼を担っていたんですね。
鷺池の畔に植えられた、植物季節観測用のサルスベリ。
「植物季節観測用標本 サルスベリ 奈良地方気象台」と書かれています。
鶯、アブラゼミなどの動物季節観測
季節の移り変わりは、桜の開花や銀杏の紅葉などによってももたらされますが、動物の鳴き声などでも知らぬ間に気付かされるものです。
鶯やアブラゼミの鳴き声を初めて聞いた日、ツバメや蛍を初めて見た日なども観測の目安となります。植物季節観測や動物季節観測などを合わせて、「生物季節観測」と気象庁では呼んでいます。四季に富んだ我が国日本では、古来より四季の移り変わりを詠んだ数多くの歌を残しています。
サルスベリと浮見堂。
鷺池にぽっかりと浮かぶ浮見堂。
浮見堂周辺は結婚式のロケーション撮影、観光客の記念写真撮影スポットとして人気を呼んでいます。
鷺池の手前に興福寺の道標がありました。
ここから興福寺までの距離は700mのようです。近鉄奈良駅までは1.3㎞、JR奈良駅までは1.9㎞と案内されています。
奈良公園の鹿と興福寺東金堂。
今秋の興福寺国宝特別公開では、興福寺の東金堂後堂が公開されるようです。東金堂の後ろ側の空間で、普段は公開されていない東金堂後堂を拝観するまたとないチャンスです。2010年の公開時に、およそ50年ぶりに東金堂後堂に還座した正了知大将立像(室町時代)が4年ぶりに公開される予定です。
南大門跡から興福寺五重塔を望みます。
夏の暑い時期は、華やかな花もあまり見られませんが、その中にあってピンクや白の花を咲かせるサルスベリは救世主のような存在です。奈良公園の鹿もすっかりバテてしまって、どこか元気が感じられないのですが、サルスベリの花だけは観光客の目を楽しませてくれます。
奈良公園のサルスベリ。
浮雲園地から春日野園地へ向かう橋の袂にも、夏を謳歌するサルスベリが咲いていました。
鷺池畔のサルスベリは標本木ということですから、やはり開花のタイミングで、季節のニュースとして取り扱われているのではないでしょうか。