春日若宮おん祭のお渡り式。
その見学ポイントは数多くあります。松の下式や南大門交名の儀は言うまでもありませんが、もっとくだけた場所は無いものかと以前から思っていました。お渡りの道順に沿う道路脇もいいのですが、行き交う車やお店の看板にどうしても邪魔されがちです。そこで今年は県庁前の出発風景に的を絞ることにしました。
お渡り式の第十番・野太刀(のだち)。
やはりインパクトがあります。その長さは5.5mにも及ぶそうで、三人がかりで担ぎ上げられます。この場所は運が良ければ、至近距離で静止状態の行列を楽しむことができます。
登大路園地の西側道路!出発前の時代行列
重要無形民俗文化財の春日若宮おん祭。
伝統ある祭礼行列に「出待ち」の言葉が適当なのかは差し置いて、いざ出陣!を思わせるシーンであることに違いはありません。出待ちのポイントは登大路園地の西側道路です。国道169号線より一本西を南北に通る道です。興福寺国宝館にも近い場所ですね。
ここです。
すぐ北に奈良県庁が見えるポイントです。道路脇の溝には板が渡され、重い御物を持って移動する行列の手助けとなっていました。ちょうど流鏑馬の的持が移動する場面ですね。
下がり藤の紋を背にする指南役が、交通整理に当たっておられました。タイミングを見て、渡し板の手前でストップが掛かります。
石のブロックの上に、赤いテープのようなものが巻かれています。
この間を行列が移動して行きます。移動する先は、おん祭の特別桟敷席の一つ「登大路園地桟敷席」前です。出発する行列を有料席から観覧するわけですが、併せて宝蔵院流槍術演武も見ることができるようです。
道路を横断する直前で、ストップを掛けられた野太刀集団。
太い松の幹を背景に、なかなかいい写真が撮れました。
こちらは登大路園地桟敷席の前を通り抜け、いよいよ一般道へと出るシーンです。
県庁との間には黒い幕が掛かっていますね。
国宝館裏手で待機するお渡りの面々。
たくさんの御幣が見られました。
和気あいあいと会話が弾みます。
お渡り式の間は許されていないようですが、このリラックスムードがいいですね。どうやら沿道の見物人に笑顔で応じたりしてはいけないようです。もちろん、ピースサインも御法度とかで、さすがに歴史を重んじる伝統祭事であることをうかがわせます。
登大路園地桟敷席の方を覗き見る人たち。
黒幕が張られ、目隠しのためであることは容易に想像が付きます。しかしながら、”防御網” にしては少し高さが足りないような気がします。
午前10時30分過ぎに、登大路園地桟敷席の前を通らせて頂きました。
もうすぐ立入禁止になるタイミングでしたが、偶然にも間に合いました。
こちらが登大路園地桟敷席です。
11時30分から13時までの間の有料観覧席です。
実際に行列が通過するのは、11時50分頃~13時頃の予定です。簡易カイロも付いて、料金は2,000円のようです。松の下式桟敷席(北席・南席)や御旅所前桟敷席に比べると格段に安く、お求めやすい価格になっています。
お渡りに備え、移動する方々に付いて行きます。
誘われるように辿り着いたのが、先ほどの出待ちポイントでした。
出待ちポイント手前に待機する「馬長児(ばちょうのちご)」の被者。
騎馬姿の美しい少年に付き従う方々ですね。五色の短冊がヒラヒラと揺れる笹竹を手にしています。
頭上には龍の造り物が飾られます。
黄色い短冊に「逢ふ恋」の文字が見えますね。
そわそわした空気が漂います。
出発を控え、心地いい緊張感に包まれる会場。
格式高い伝統祭事でありながら、角の取れた雰囲気が楽しめる場だと思います。敢えて今回は出待ちの場所をご案内しましたが、この他にも色々あるだろうと思います。皆さんも是非、お好みのポイントを探してみて下さい。