馬見丘陵公園にコクチナシの花が咲いていました。
中央エリアの公園館近くを歩いていると、梔子(くちなし)特有の甘~い香りに誘われます。近づいてみると、確かにそこには梔子の花が咲いていました。でも、よく見てみると少し小振りであることに気付かされます。
馬見丘陵公園のコクチナシ。
それもそのはず、このコクチナシは梔子(クチナシ)よりも少し小さい姫梔子(ひめくちなし)という品種のようです。
俗に言うクチナシは「山梔子」と表記されますが、馬見丘陵公園に咲いていたコクチナシは「姫梔子」です。中国名に直すと「水梔子」で、花が咲いた後に成る ”液果” に因んでいると言います。
綺麗な六弁花が公園館付近で満開!
コクチナシには八重咲きと一重咲きがあるようですが、私が写真に収めたのは一重咲きのコクチナシです。
それにしても、なぜ梔子はここまでの芳香を解き放つのでしょうか。京都八坂神社の鬼門方向にある鳥居を抜けた場所にも香っていたことを思い出します。香りと記憶は結び付きやすいと言いますが、私もなぜそのことを覚えているのか説明が出来ません(笑)
整然としたコクチナシの花びら6枚。
梔子(くちなし)の名前の由来は、染料でおなじみのその実にあります。花が咲いた後に成る実は、成熟しても口を開くことがありません。そこから「口無し」という名前が付けられています。
コクチナシの開花時期は6~7月で、普通のクチナシと変わりはないようです。
10月頃に付ける果実はクチナシと同様、山梔子(さんしし)という生薬名で知られます。消炎解毒剤や解熱剤として利用される他、食材や衣類の色付けにも使われています。クチナシの実にはクロセチンという黄色い色素が含まれており、それがお正月料理の栗きんとんに染み込んでいるというわけですね。
コクチナシの案内板。
クチナシとくらべ全体が小ぶりで、花は八重と一重があります。鉢植えにもされます。(アカネ科)
山梔子の英名はガーデニア(gardenia)なんですが、コクチナシの案内板にも gardenia の文字が見られますね。
今回の目的は馬見丘陵公園の花菖蒲でした。
毎年6月に行われる馬見花菖蒲まつりも第4回を数え、その認知度も徐々に上がりつつあります。コクチナシの咲いている場所から菖蒲園までは歩いてすぐです。あくまでも花菖蒲が主役ではありますが、その脇に咲く花にも注目しておきたいですよね。
花を見るより先に、その存在に気付きます。
鼻の利かない私たち人間ですらそんな感じですから、花に群がる虫たちにとってはあまりにも強烈な匂いだったりして(笑) クチナシの花は、確か歌謡曲にも唄われていましたよね。歌声や匂いと共に人々の記憶に留まり続けるクチナシに酔い痴れるひと時でした。