3月下旬の大神神社結婚式。
新郎新婦様と親御様にお泊り頂きました。運よく鮮度のいいアブラメが入荷したので、迷わず「姿造り」でおもてなし致します。
アブラメの姿盛り。
関西地方では油目(あぶらめ)と呼んでいますが、標準和名はアイナメ(鮎並)です。
体の表面に独特のぬめりがあることからアブラメと言います。見た目とは裏腹に、その身は透明感のある白身です。モッチリした刺身は絶品で、1kg4,500円を超える高級魚としても知られます。
焼霜造りが美味!側線5本、尾びれ先端が直線状のアブラメ
身質はどこかホッケにも似ています。
側線が5本あるのも特徴の一つです。日本各地の岩礁域に棲息し、引きも強いことから釣り人に人気の魚です。アブラメの旬は春から初夏にかけてとされます。大美和の杜展望台の桜が7分咲きぐらいですが、ちょうど桜の季節には旬を迎えるんですね。
アブラメと鯵。
以前に入荷したアブラメと比べると、落ち着いた色合いの個体ですね。
アブラメは棲む環境によって体色に変化が見られます。黄色、赤褐色、暗緑色、紫褐色と様々な色合いになるようです。
アブラメの他にも、鯵、ナミ貝(白ミル)、イクラ、栄螺(さざえ)などを盛り付けます。
舟盛り皿の手前に、皮をバーナーで炙ったアブラメの焼霜造りを並べます。少し硬めの皮ですが、非常に旨味が強いです。アコウ(キジハタ)なども焼霜造りに向いていますが、アブラメも引けを取りません。
顔の形や吻(ふん)もホッケに似ていますね。
三枚おろしにして分かりましたが、アブラメには少し湾曲した強い小骨があります。焼き物や煮物にする際は、骨切りの処理を施すといいでしょう。
腹の部分が傷みやすいアブラメですが、この個体は至って新鮮でした。
肝も美味しそうだったので甘辛く煮付けます。胃袋も大丈夫だろうと、中のぬめりをしごき取りました。
アブラメの胃袋。
胃袋の内側には襞(ひだ)が確認できますね。
胃袋の外側。
他の臓器とつながっていた箇所が“出べそ”のように突き出しています(笑)
アブラメの尾びれ。
ほぼ真っ直ぐですね。速く泳ぐ魚はV字形に切れ込んでいますが、アブラメはそうでもないようです。
先付け各種。
伊勢海老はまだもう少し楽しめそうです。禁漁期に入れば、食べられなくなる食材です。無尽蔵にあった海の資源も、昨今は枯渇し始めています。安定して入荷する食材も、この先少なくなっていくことでしょう。私たち一人一人の心掛けが問われる時代ですね。
表面がテカっていますね。
淡白な白身はそぎ造りにも向いています。アブラメの花造りなども面白そうですね。
春のアブラメ。
新学期が始まる頃、美味しくなるアブラメをどうぞご賞味あれ!