世界遺産で知られる紀伊山地の霊場と参詣道。
奈良県、三重県、和歌山県の紀伊半島3県に跨がる国立公園の一角を担う吉野山入口付近に、機械遺産に認定された吉野山ロープウェイはあります。世界遺産ならよく耳にしますが、機械遺産とはあまり聞き慣れない言葉ですよね。
ケーブル吉野山駅に到着した吉野山ロープウェイ。
現存する日本最古の索道路線である吉野山ロープウェイは、2012年8月に日本機械学会により機械遺産に認定されています。仏像や建築物を始め、「日本最古」は奈良県内に数多く存在しますが、さすがに機械遺産に認定された乗り物に乗車するのは初体験です。
千本口駅から吉野山駅を結ぶ交通手段
国内では現役最古のロープウェイ。
バス事業も運営する吉野大峯ケーブル自動車が手掛けています。
奈良県内にはJR奈良駅旧駅舎、大仏鉄道、近鉄生駒鋼索線(こうさくせん)などの近代化遺産が知られます。吉野山ロープウェイもそんな近代化遺産の一つとして大切に守られています。
ケーブル千本口駅の運賃表。
大人片道350円、往復600円となっています。小人は大人の半額料金に設定されているようです。
近鉄電車がようやく近鉄吉野駅に到着致しました。
意外と時間が掛かりました。急行とはいえ、行き違い列車を待つために停車する時間もかなりあります。
JRと連絡する吉野口駅を過ぎてから薬水、福神、大阿太、下市口と続きますが、下市口駅に出る辺りまでは車窓風景にも民家があまり見当たらず、ちょっとした秘境を目指しているような錯覚に陥ります(笑)
近鉄吉野駅の改札を出た右手にトイレがあり、用を済ませた後、そのままロープウェイ乗り場まで直行します。
駅から2、3分歩くとケーブル千本口駅に到着します。
千本口駅で待機する吉野山ロープウェイ。
ロープウェイの中に乗り込んで進行方向を見上げると、目的地のケーブル吉野山駅が見えています。
およそ300mほどの距離を結ぶ路線のようです。高低差も約70mですから、ロープウェイを利用せずに徒歩で登って行くというアクセス方法も考えられますね。
「さくら」と書かれています。
吉野山の桜を見物するために、世界中の人々がこの場所を訪れます。
南朝皇居として知られる吉水神社。
目的地のケーブル吉野山駅を降りたら、徒歩圏内で後醍醐天皇の南朝の皇居へもアクセスすることができます。これは期待が高まりますね。
千本口駅を出発する吉野山ケーブル。
座席は前方と後方の二手に分かれていて、私は後方の座席に着席致しました。後ろを振り返って、さっきまで居た千本口駅を見降ろします。
徐々に高度を上げて行きます。
眼下に民家が見えますね。
春には進行方向真横に七曲り坂の桜を望むことができます。
吉野山ロープウェイの開業は昭和4年(1929年)に遡ります。今年で85年目を迎える長寿のロープウェイということになります。技術を駆使して、安全には万全を期しておられることと思われます。
世界遺産吉野山への旅の玄関口でもある黒門。
ケーブル吉野山駅を降り立ち、左手へ少し登って行くと、歴史ある風情の黒門が出迎えてくれます。
ケーブル吉野山駅に到着した吉野山ロープウェイ。
千本口駅から吉野山駅までの所要時間は約3分です。短い時間ではありますが、またとない空中散歩を楽しむことができます。乗り物好きの方には是非おすすめ致します。
今回は片道乗車券を購入致しましたが、往復乗車券を購入した方は帰りの時間に注意が必要です。あまり遅い時間だと、ロープウェイの運行が終了しています。当日のロープウェイの時刻表を再確認しておかれることをおすすめ致します。
私はこの日たっぷり時間があったため、帰りは吉野神宮まで徒歩で下って行きました。
ケーブル吉野山駅を降りると、すぐに奥千本行きのバス乗り場があります。
奥千本口行きのバスはケーブル吉野山駅バス停より運行しており、通常期はケーブル千本口駅発毎時35分に乗車すると、そのままケーブル吉野山駅からバスと連絡しています。
桜の季節の春期には、竹林院前バス停より運行しています(混雑時は4台でのピストン運行)。
吉野山のシンボルとも言われる金峯山寺蔵王堂。
わざわざバスを利用しなくても、金峯山寺蔵王堂までなら徒歩10分ほどでアクセス可能です。
ケーブル吉野山駅まで上がって行く途中、下りのロープウェイとすれ違いました。
動きのあるもの同士、さすがにケーブルカーとはいえスピードを感じます。
世界遺産への旅の入口で、あなたも機械遺産にご乗車なさってみてはいかがでしょうか。きっと旅のいい思い出になることでしょう。