吉城園の苔の庭には、美しい杉苔(スギゴケ)が生育しています。
近鉄奈良駅を降り立ち、奈良県庁の前を通って東大寺方面へ向かいます。地下歩道を抜けて北側の地上に出ると、程なく吉城園の入口へとアクセスします。
吉城園(よしきえん)の苔の庭。
茅葺屋根の離れ茶屋にも味わい深いものがあります。
吉城園の園内は池の庭、苔の庭、茶花の庭の三つの庭で構成されています。苔の庭には離れ茶室があり、独特の風情を醸し出します。
興福寺塔頭摩尼珠院跡地に造られた庭園
吉城園の場所ですが、『興福寺古絵図』によれば興福寺子院のあった場所とされます。
明治期に民間所有となり、大正8年(1919)に現在の建物と庭園が造られました。名勝依水園の南西に位置し、万葉集にも詠われた吉城川に隣接しています。自然の地形を巧みに採り入れ、外国人観光客にも人気の観光スポットとして注目を集めます。
杉苔にズームイン!
乾燥に弱い杉苔を育てるのはなかなか難しいと言われます。
これだけ見事な杉苔を吉城園で見られるのには理由があります。吉城園の苔の庭には、飛火野と同系の地下水脈が流れていると言われます。杉苔の生育に適した環境が、観光客の目を楽しませてくれているわけですね。
杉苔と茶室。
世界遺産に登録された富士山の麓にも、富士山の雪解け水が地下水脈となって流れています。豊富な水の資源が、富士山麓の見事なまでの景観を産んでいるのです。
吉城園の杉苔の下にも、脈々と流れる水の恵みがあったんですね。
苔養生中と書かれています。
ネットで覆われた苔。私が吉城園を散策している間にも、苔の手入れをなさっている係の方の姿が見られました。吉城園の杉苔がいつまでも絶えることなく、その生命をつないでいくことを切に願います。
茶花の庭から苔の庭へ下り、帰路に従って進みます。
吉城園の拝観パンフレットの見取図を見てみると、ちょうどV字型のような形の吉城園の真ん中から右側にかけて、美しい苔の庭が広がります。拝観受付から池の庭、苔の庭、茶花の庭と続く園内ですが、吉城川に沿って一番面積が広そうなのが苔の庭です。
石灯籠越しに離れ茶室を望みます。
平成22年5月に葺き替えを終えたばかりの茅葺屋根の茶室です。
野点も楽しめ、有料で茶会も催されています。
苔を育てるのは本当に難しいですよね。
吉野の山奥で綺麗な苔を見つけて、家の中庭で育ててみようと持ち帰ったことがありますが、敢え無くその挑戦は失敗に終わっています。やはり平地で苔を育てるのは難しいのかと痛感した覚えがあります。
東大寺大仏殿前の鹿とさるすべり。
吉城園から東大寺までは徒歩圏内です。この後、久しぶりに手向山八幡宮や東大寺二月堂にもお参りして、夏の東大寺観光を楽しんで参りました。
吉城川を背にして苔の庭を撮影。
緑がとても綺麗ですね。吉城園は新緑や紅葉の名所としても知られますが、秋にも一度訪れてみたくなりました。苔の庭の片隅にはベンチも置かれており、ゆっくりと寛ぎながら庭を観賞することができます。
吉城園の住所は、奈良市登大路町60-1番地。
入園料は250円、団体割引で220円(奈良ファン倶楽部・鹿愛護会員、準じる)となっています。開園期間は3月上旬~12月27日です。
16時30分の閉門時間までには訪れたいですね。
吉城園の開園時間は午前9時~午後5時となっています。
杉苔を堪能できる吉城園、是非おすすめです。