意外と知られていませんが、山の辺の道にも蓮の花が咲きます。
場所は大神神社から貴船神社を過ぎ、右手上方に八大竜王弁財天を望むエリアです。蓮池と言うよりは蓮田(はすだ)といった雰囲気です。相変わらずの猛暑日でしたが、ハスの花が元気に開花していました!
山の辺の道沿いに咲く蓮。
蓮田の向こうに、「山の辺ハスの花ロード」と記された立札が見えます。どうやら茅原区の茅原長生会の方々が手入れなさっているようです。
緑色の花托!山の辺の道の蓮田へアクセス
蓮はインド原産の植物です。
仏教にゆかりの深い蓮ですから、そのルーツには誰しも納得がいきます。
ハスには時間軸を飛び越える不思議なチカラもあります。遺跡で発見された2,000年前の種子が発芽し、なんと花を咲かせたと言うのです。嘘のような本当の話で、蓮が秘めた無尽蔵のパワーを感じさせます。
山の辺の道と蓮田の境界線。
残念ながら柵が張られ、中に入って観賞することはできません。
この道をさらに辿れば、不動明王を祀る玄賓庵へとアクセスします。
大神神社の二の鳥居。
今回のハスの花見学の出発点です。
立派な明神系の鳥居ですね。柱の上下をよく見てみると、わずかに台輪や藁座に当たる部分も確認できます。
蓮の花託(かたく)。
蓮の花は4日の命と言われますが、花が落ちると花托が姿を現します。
この状態でまだ茎は伸び続けます。成熟してくると緑色から茶褐色になり、やがて黒色に変色します。色の落ちた花托は果托と呼ばれるようです。
ハスの名前は「蜂巣(はちす)」に由来すると言いますが、この花托を見ると合点がいきますね。
貴船神社。
大神神社の末社で、水を司る神様を祀ります。
蓮の花園の手前に鎮座しています。この社殿の右横には、玉垣に囲われた磐座が祀られていました。
山の辺の道の道標。
貴船神社からさらに桧原神社方面へ向かうと、三方向を指し示す道案内がありました。
右手へ上がって行くと、広い池のある八大竜王弁財天へ出ます。目指すハスの花はここを真っ直ぐに進みます。
ありました、ありました。
山の辺の道に広がる蓮の花園です。
大きな葉を広げていました。
まだ蕾の状態のものもありますね。
訪れたのは7月下旬の猛暑日で、しかも正午前でした。本来ならもう少し早い時間帯が良かったと思いますが、それでも十分にハスの花を楽しませてもらいました。
こちらも花托ですね。
まだ緑色が濃いところを見ると、花が落ちて間のないタイミングでしょうか。
すっくと立つ蓮の花。
道の反対側に ”電線” が見えるのが玉に瑕(笑)
外国人観光客が異口同音に驚くのが日本の電線の多さです。街ナカはいざ知らず、自然の風景を切り取る際にも電線が邪魔をします。諸外国では ”地中化” されているのが当たり前の電線ですが、確かに日本は遅れていますね。
「待った」をかけるかのようにその ”手” を広げます。
柵の外にも飛び出すぐらいに元気です。
もうかなり開き切った感じの花。
開花から3~4日目の花でしょうか。一番外側の花びらなどは、今にも落ちそうです。
成長の過程を見せてくれますね。
やがて黒く成熟した蓮の実は池に落ち、水底で蓮根となります。
こうやって見るだけでも、様々なプロセスの蓮が確認できます。
橿原市にある藤原宮跡の蓮はかなり有名になりましたが、山の辺の道のハスはまだまだこれからです。知名度を上げるためにも、どんどんPRしていきたいですね。
朝早く来れば、もっと咲いているのでしょう。
場所柄そう遠くもないので、また機を見て訪れてみようと思います。
花よりも葉っぱの存在感が大きいですね。
大神神社境内から蓮の花のエリアまでは徒歩7~8分でしょうか。
狭井神社の鳥居前から山の辺の道に入り、狭井川を越え、月山記念館の前を通って、神武顕彰碑を左手に見ながらさらに進みます。やがて右手に貴船神社へと通じる石段が見えて参ります。社殿前で手を合わせ、石段を下りて再び山の辺の道のルートに戻ります。
道標の立つ二股の道を左手に取り、しばらく進むと山の辺の道の蓮田へと辿り着きます。
足元には注意が必要ですね。
蓮の花に気を取られていると、ずるずるっと泥水の中に足を取られます!くれぐれもご注意を。
結構広いですね。
山の辺の道に沿うように、蓮田が広がっていました。
向きを変えて撮影。
右手奥に写っているのは三輪山でしょう。
黒い「果托」は西を向くと言いますが、まだその手前の「花托」だからでしょうか、
思い思いの方向にその頭(こうべ)を向けていました。ギラギラ照り付ける太陽に負けじと、その生命力を爆発させます。
お盆の時期になると、仏壇に蓮の葉が供えられます。
西方向の極楽浄土へと結び付く蓮。
ご先祖の魂を迎え入れる時が近づいています。暑い夏に見る蓮は、違和感なく私たちの心に溶け込みますね。