季節の花が楽しめる万葉文化館の前庭。
万葉集ゆかりのミュージアムで、新元号「令和」の時代に入り益々盛り上がりを見せています。飛鳥池工房遺跡や富本銭でも知られ、歴史好きの人なら一度は訪れておきたい場所です。
万葉文化館の庭に開花する空木(うつぎ)。
ユキノシタ科の落葉灌木で、「卯の花(うのはな)」とも呼ばれます。日本各地の山野に自生しているようで、幹が中空なところから「空木(うつぎ)」と名付けられました。
生垣や木釘にも用いられた空木
この場所に植えられていることからも、万葉の時代にも咲いていたのでしょう。
あまり目立たない花故、空木の花と言ってもピンとこない人が多いのではないでしょうか。中空の幹にしては、その材は極めて堅く頑丈なようです。「卯の花垣(うのはながき)」として生垣にも用いられ、木釘としての用途もあったようです。
鐘状の五弁花を付けています。
円錐状に開く独特の形状です。
万葉集の中では、ホトトギスと共に夏の風物詩として歌われました。
霍公鳥(ほととぎす) 来(き)鳴き響(とよ)もす 卯の花の 共にや来(こ)しと 問はましものを
初夏に卯の花が咲き始めた頃、ちょうどホトトギスも鳴き始めました。開花時期を知っていたのかと、ホトトギスに質問してみたくなったのでしょうか。
こちらはイソギクの花。
万葉文化館の玄関前には、マスコットキャラクターのせんとくんが見えます。
高松塚古墳の解体実験用石室。
飛鳥資料館の前庭に展示されていました。
再び万葉文化館に舞い戻って、かしわばあじさいを観賞します。
鞠のように丸いのが紫陽花のイメージですが、こんなロングな紫陽花も存在するんですね。その名の如く、柏の葉を思わせる形状です。
シモツケの花。
バラ科の灌木で、下野の国で発見されたことに因みます。
こちらは紫蘭(シラン)。
この他にも、ヤマボウシなど初夏を彩る花々があちこちに咲いていました。
うつぎの花に近づきます。
その枝葉を煎じた汁は、黄疸にも効くのだとか。
虫が蜜を吸いにやって来ました。
昔から変わらない光景なのでしょう。
プレートで案内されています。
空木の花期は5月から7月にかけて、その実は10月~11月の秋に成るようです。
普段は気にもかけない植物をまじまじと見学します。
館内の展示品も見事ですが、屋外に広がる ”植物図鑑” にも目を向けてみたいですね。
書物だけでは分かり得ない ”体感” があります。
館内展示に屋外展示。
もちろん、万葉庭園の散策は無料です。庭を通り抜けると、日本最古の寺院・飛鳥寺ともつながっています。万葉文化館には様々な利用方法があることを覚えておきましょう。