愛嬌のある亀の形をした亀形石造物。
飛鳥の奈良県立万葉文化館の駐車場脇に、昔の祭祀空間ではないかと思われる謎の石造物があります。
小高い丘の上にある酒船石と共に酒船石遺跡と呼ばれるエリアの低地に、導水構造を持つ不思議な石が!平成12年に発掘され、比較的新しい飛鳥のミステリーストーンとして注目を集めています。
斉明天皇の両槻宮?謎の導水施設から広がる歴史ロマン
謎に満ちた亀形石造物ですが、現在は無料となった万葉文化館の駐車場横にあります。
酒船石がある丘陵下に位置しており、酒船石とのセット見学をおすすめします。
亀形石造物の拝観受付。
酒船石の見物は無料なんですが、こちらの亀形石造物は大人300円、小人(小・中学生)100円の拝観料が必要となります。
文化財保存協力金として、遺跡の今後の維持管理のために使われるようです。国民的財産ですからね、ここはひとつ惜しみないご協力を宜しくお願い申し上げます。
周辺に咲く花。
窪んだ場所にある亀形石造物の周りは柵で囲われていました。
砂岩湧水施設から小判形石造物へ流れ落ちた水が、亀の頭を伝って甲羅へと流れ込みます。
小判形石造物と亀形石造物はどちらも石槽となっており、造形的にも大変優れた遺跡です。組み合わせることによって、導水施設を造り出していることが分かります。
亀形石造物を案内する看板。
現代にも通用するかわいいデザインですよね(^u^)
隣接する明日香民俗資料館の入口付近に、亀形石造物をあしらった車輪を見つけました。
資料館の中では、CGを駆使したビデオが流れています。
亀形石造物を案内するCG映像。
閉鎖性の高い人工的な空間に位置する亀形石造物。その場所から類推して何らかの祭祀が行われていたのではないかと考えられています。真実のほどはいかに?
亀形石造物へのアプローチ。
天皇陛下もお越しになられたようで、記念植樹が残されていました。
亀は縁起の良いものとされています。
そう言えば、奈良の当麻地方との逸話が残る亀石も、明らかに亀の形をしていますからね(^u^) 長寿で知られる亀ですが、古代の人たちにとっても重要な生物であったことが伺えます。
日本書紀の斉明天皇2年の条に、
宮の東の山に石を累(かさ)ねて垣とす
とあります。酒船石遺跡は斉明天皇の両槻宮(ふたつきのみや)ではないかと推定されます。
亀形石造物の見学は午前9時から午後5時まで。
荒天の場合は閉場することもあります。
亀形石造物への交通アクセスですが、近鉄橿原神宮前駅東口より奈良交通明日香周遊バス「飛鳥駅」行き、万葉文化館西口下車すぐとなっています。