橿原市八木の町並みにセンタイバと呼ばれる場所が残されています。
センタイバ? その不思議な言葉の響きに誘われて、JR畝傍駅と近鉄大和八木駅のほぼ中間地点にあるセンタイバを訪れてみました。
通称センタイバと呼ばれる八木の接待場跡。
誰を接待した場所なのか?
センタイバは伊勢街道沿いに面しており、伊勢神宮にお参りする人々を接待した場所とされます。伊勢神宮参詣の御蔭参りの人々に、八木の町民たちが湯茶や食事を無料奉仕していた場所として今に伝えられます。
伊勢街道沿いの『八木札の辻交流館』
無料でサービスしていたとは、なかなかの太っ腹ですよね。
伊勢神宮まで足を運ばなくても、おかげ参りの人々を接待することがそのままご利益につながっていたのでしょう。
当時の接待場の絵が案内されています。
太神宮八木と書かれた幟が立てられていますね。
つい最近まで、この場所には伊勢神宮参拝の道案内をする太神宮灯籠が残されていました。現在は大和八木駅前通りの交差点に移されていますが、明和8年(1771)に建立された灯籠と考えられ、最も古い灯籠の一つに数えられます。
絵の中の建物の背後に、太神宮灯籠の足元が見えます。
八木の接待場跡。
令和2年時点の現在も灯籠が建っていますが、この灯籠は太神宮灯籠ではありません。
すぐ背後には民家が建っています。センタイバ前の伊勢街道を東へ進めば、下ツ道と交差する場所に八木札の辻交流館があります。センタイバ向って左側の道を南へ進めば、JR畝傍駅へと通じています。
江戸時代のおかげ参りの歴史を如実に物語る名所が、さりげなく八木の古い町並みに溶け込みます。
その昔、お札が立っていたであろう場所から八木札の辻交流館を撮影。
このアングルからだと、電線が邪魔になりますね。この建物はお伊勢参りの道中に建つ旅籠として活躍していた時代がありました。
現在は八木札の辻界隈の歴史を案内する資料館に生まれ変わっていますが、当時の名残が感じられる素敵な建造物です。二階の欄間には伊勢名物の夫婦岩が彫られていて、ここが伊勢街道であることを感じさせます。
今井町を含めた八木の町並み散策の際には、接待場跡を訪れてみることをおすすめします。