春日大社の本殿真西に鎮座する風宮(かぜのみや)神社。
御仮殿特別参拝の日に、お祓いの神様として知られる風宮神社に手を合わせて参りました。
風宮神社の七種寄木(なないろのやどりぎ)。
複雑に入り組んだ幹や枝が瑞垣の外にも伸びていました。風宮神社の宿り木を見ていると、若草山麓近くの水谷神社にも宿り木があったことを思い出します。水谷神社は春日大社の摂社で、伊吹と杉による見事な宿り木が鎮まります。生命力を感じさせる宿り木に思わず手を合わせている自分に気付きます。
風神が運んだ種に因む子授けの神様
風宮神社は子授けの神様として信奉を集めています。
風のチカラで運ばれた新たな命。その命が紡がれて、今の七種寄木の姿になったと言い伝えられます。
春日大社末社の風宮神社。
この社殿の右側には、春日大社の本殿が祀られています。
風宮神社の背後には藤浪之屋、攘災招福の椿本神社などが建ち並び、春日大社独特の玄妙な空気が漂っています。
七種寄木(なないろのやどりぎ)の解説板。
この名の由来は、カゴノキを母樹としてツバキ、ナンテン、ニワトコ、フジ、カエデ、サクラが着生したことによる。風宮神社のかたわらであることから、風神の威力によっていろいろな種を運んで来たと伝えられる。
物の繁昌、やどるというところから妊婦を守るとの信仰があり、こよりを枝に結び、願いが叶えば解くとよいといわれる。
七種寄木は子授け祈願にご利益があるようです。
昨今は環境保護の観点からも、おみくじを木の枝に結び付けるのはご法度とされていますが、風宮神社の七種寄木に関しては例外のようです。願い事が無事に叶えば解くという手順ですから、少なくとも二回は風宮神社にお参りする必要がありそうですね。
七種寄木はカゴノキを母体としているようですが、カゴノキってどんな木だろう?と思って調べてみました。
鹿子の木(かごのき)はクスノキ科カゴノキ属の常緑高木で、その樹皮が鹿の子模様に見えるため鹿子の木(カゴノキ)と命名されているようです。神鹿を仰ぐ春日大社ならではですね。
鹿の子模様を探してみるのですが、どうも判別ができません。
時期によっては、はっきりとその模様を確認することができるのでしょうか。
様々な樹木が重なり合い、エネルギーが密集しています。
決して大きな木ではありませんが、御神木の粋を見るような気が致します。
それぞれが上手い具合に助け合っているのかもしれませんね。
依存し合うことなく、見事な共生関係が築かれているものと思われます。これぞまさしく神業です!
風宮神社の案内板。
御祭神は級長津彦命(しなつひこのみこと)と級長津姫命(しなつひめのみこと)の二柱とされます。
御例祭は9月1日で、御神徳には生命を司り罪穢を清めるお祓いの神様(子授け)と記されています。
御祭神は風の神様で、息吹を司られることから生命神として、また人々が知らず知らずのうちに犯してしまう罪穢を風の如く吹き払い清めてくださる神様として信仰されている。また御殿の西脇には御祭神が風の力で集められた七種類の木が共生した「七種寄木」があることから子授けの神様としても信仰されている。
御祭神のシナツヒコですが、古事記においては「志那都比古」と表記される神様ですね。イザナギが朝霧を吹き払った息から生まれたとされる風の神様です。
風宮神社は本殿の真西に祀られています。
西風の害から本殿を守ると同時に、外敵を吹き払う役目も担っているようですね。
風宮神社を背後から見ます。
以前に若宮15社めぐりでも色々な神社に参拝致しましたが、本殿近くにも数多くの神社が祀られています。春日大社の大宮(国宝本殿)特別参拝マップを見てみると、全部で16の神社が案内されています。こんなに多くの神様が祀られていたんですね、改めて春日大社の奥深さを知った次第です。
いや~参りました。
生命を司る風宮神社には、どこか動的なパワーが感じられます。
春日大社と言えば、万灯籠のイベントが人気を集めていますよね。その春日大社中元万燈籠を疑似体験できる藤浪之屋もすぐ背後に控えています。普段の参拝では内侍門から宝庫の背後が少し見えている程度でしたが、実際に中に入ってみると色々な発見があって興味深い一日となりました。
あなたも風宮神社にお祓いに訪れてみてはいかがでしょうか?