榛原石の板石で築かれた石室。
かねてより興味のあった帯解黄金塚古墳を訪れました。
周辺に古墳の場所を示す道標が無く、少々分かりづらいのが玉に瑕です。陵墓指定のため石室を見学することは出来ませんが、詳細なアクセスルートも併せてご案内致します。
帯解黄金塚古墳(黄金塚陵墓参考地)。
天武天皇の皇子・舎人親王の墓ではないかとされますが、2009年の発掘調査により築造年代は7世紀中頃と判明しました。舎人親王の没年と適合せず、被葬者は未だ不明です。
帯解黄金塚古墳の行き方
今回私は車で帯解黄金塚古墳を目指しました。
国道169号線の窪之庄南交差点を東に入り、まずは奈良東病院の手前辺りへ向かいます。
伝山の辺の道から連なるサムライ街道を横切り、そのまま東進するとやがて右手にコンビニが見えて参ります。ちょうど奈良東病院から下りて来た所にあるコンビニです。コーヒーブレイクをして店員さんに古墳の場所を尋ねます。
帯解黄金塚古墳の墳丘。
墳形は一辺約30mの方墳です。
詳細な場所を尋ねてはみたものの、よくご存知でない様子でした。
地元の人にもあまり知られていないようです。コンビニに置いてある地図も示して頂きましたが、残念ながら掲載されていません。仕方なくスマホのグーグルマップで調べてみると、経路案内が出てきました。さすがはグーグル!
それによると、来た道を引き返して一本目の四つ辻を北へ入り、次を左に曲がって丘陵の裾を進むようです。そして最後は右方向へ上がって行きます。
ここが右へ上がって行くポイントです。
電柱とカーブミラーが目印ですね。車でアクセスする際は、重要なアクセスポイントになりますので覚えておきましょう。
ガードレールの左手には池が広がっていました。
もう少し先にある路駐可能な場所を見つけて車を離れます。
先ほどの右折ポイントまで戻って来ました。
この坂道を登って行きます。
坂道の途中でマムシ注意の看板を見つけました。
帯解小学校のもののようですね。
やがて左手に墓所の六地蔵が見えて参ります。
まだもう少し登って行きます。
ここが最重要アクセスポイントです!
帯解黄金塚古墳はカーブミラーの先を右へ入って行きます。竹林の中へ入って行くわけですが、そこに道標が立っています。
おなじみの櫟旅(いちたび)道案内ですね。
天理方面と奈良方面を指し示すだけで、肝心の古墳案内が出ていません。この道標からだと、徒歩2分ほどの距離に帯解黄金塚古墳がありました。なぜにまた!?
ご多分に漏れず、周辺をウロウロ探してしまいました。
竹藪の中へ入って行けばいいのです。
矢印で示されていない方向ですが、迷わずに歩を進めましょう。
静かな地道です。
物音のしない竹林を進みます。
古墳探訪でもなければ、誰しも心細くなるような雰囲気ですね。
その途中、左手に小屋がありました。
発掘調査の時にでも利用されていたのでしょうか。
さらに進んで行くと、同じく左手に帯解黄金塚古墳の墳丘が見えて参りました。
ついに発見!
杭が打たれ、墳丘への立ち入りは制限されています。
三本の柱で区画された羨道!大規模な終末期古墳
奈良市南端に位置する帯解黄金塚古墳。
JR帯解駅からだと、徒歩約20分の距離です。算額絵馬で知られる円満寺などを経由して歩くのもおすすめです。
扉が見えていますね。
南面する磚積式横穴式石室だと思われます。
石室の長さは約13mに及び、玄室の長さ約3mで、玄室の壁は下から約1.6mの高さまでは垂直に積まれ、その上は四方から内傾するように積まれているようです。
黄金塚陵墓参考地(宮内庁)。
宮内庁管轄の古墳です。
宮内庁が参考地として指定している範囲は、一辺25mほどの四角形の範囲に過ぎません。
南辺を除く三辺には、最大高さ4mに及ぶ大規模な土手が巡らされています。これらの土手も黄金塚古墳に伴うものと考えられ、それを含めれば東西約120m、南北70mにも及ぶ規模となります。
小型化した終末期古墳としては、かなり大きな古墳です。
レンガを積み重ねたような磚積式の石室を有することから、渡来系氏族の墓である可能性も示唆されます。
方墳の南東側から。
墳丘を取り囲むように杭が打たれています。
古墳の東側には民家が建っていました。
石室の羨道には三箇所の張り出しが見られ、その特異な構造が注目されます。
帯解黄金塚古墳前の竹林。
奈良県内には多数の古墳がありますが、竹林の中の古墳も珍しくありません。否、むしろ竹林を見れば古墳があるかもしれないと疑った方がいいかもしれません。天理市の峯塚古墳や石上大塚古墳は記憶に新しいところです。
石室前面では石敷きが検出されています。
墳丘外周にも二段の石敷が確認されたようです。
ここまで足を延ばしたのだから、やはり石室を見学してみたかった。
偽らざる気持ちですが、墳丘の前に立って過去の記憶映像を辿ります(笑) 桜井市で見た舞谷2号墳の横穴式石室。綺麗に積まれた榛原石を思い浮かべながら、帯解黄金塚古墳の石室内を想像します。
帯解黄金塚古墳の帰り道。
後で思ったのですが、墳丘の裏側へ回り込んで空濠や外堤を見学しておけば良かったと後悔しています。陵墓参考地の指定範囲のみならず、古代ロマンを誘う堤が築かれている古墳です。今回見落とした部分は、次回の宿題に取っておこうと思います。