桜井市巻野内にある巻野内石塚古墳。
古墳の名前が国史跡の纒向石塚古墳とダブってしまうのですが、別の古墳ですので注意が必要です。どちらも前方部の短い纒向型前方後円墳で、この地域に特有の墳形を呈しています。
南方から見る巻野内石塚古墳。
現在は円形状の円墳のみが残っており、周縁には石垣が見られます。この石垣は、巻野内石塚古墳の葺石のようです。前方部は北東方向を向いていたのではないかと言われます。
ホケノ山古墳の縮小版!葺石が見所
巻野内石塚古墳を語る上で欠かせないホケノ山古墳。
箸墓東方にある前方後円墳で、古墳時代初期の築造です。巻野内石塚古墳はホケノ山古墳の3分の2の大きさで、墳形も同じです。盟主墳であるホケノ山古墳の少し後に築造されたのではないかと思われます。
ホケノ山古墳には駐車場もあります。
車で見学される際は、ホケノ山古墳に駐車してから歩くのがいいでしょう。その途上で、北口塚古墳、茶ノ木塚古墳、小川塚東古墳、小川塚西古墳、サシコマ古墳なども見ることが出来ます。
巻野内石塚古墳へのアプローチ。
今回は東方向から近づきます。反対の西側からも向かうことができるようです。遥か西に二上山も見えていますね。
ここまで近づくと、円墳周辺の葺石が確認できます。
元々こんな風に組まれてはいなかったでしょうが、巻野内石塚古墳の葺石を転用していることは間違いなさそうです。墳丘へ上がる道筋も付いていますね。
巻野内石塚古墳の葺石。
隙間から草が生え、初夏の訪問のため緑が綺麗です。
巻野内石塚古墳の案内板。
桜井市教育委員会による解説が出ていました。
纒向地域から南の茅原の地域にかけての丘陵部には、有名な珠城山古墳群や箸墓古墳、茅原大墳古墳があるが、この他に二十数基の中・小規模な古墳が散在している。数基の方墳があるものの、多くは古墳時代後期の円墳と見られ、中には前方後円形を呈するものもあるようだ。
巻野内石塚古墳もこれらの古墳群中にあり、調査が行われていないため詳細は不明だが、後円部径35m程度の北面する前方後円墳のようである。
墳丘上から三輪山を望みます。
三輪山に連なる左奥の稜線は巻向山です。さらにその左の尖がった頂は弓月岳ですね。東方向に連なる山々は、ここが奈良盆地であることを思わせます。
ビニールハウスの向こうに見えている建物は九田寺です。
巻野内石塚古墳からほぼ真東の方向に、浄土宗寺院の九田寺があります。
墳丘上から箸墓古墳を望みます。
箸墓の後円部ですね。この白い花は蜜柑の花でしょうか。
さらに墳頂部を目指そうとしましたが、かなり繁茂しています。
やはり古墳見学は夏は避けた方がいいかもしれませんね。緑は綺麗なのですが、実地探査には向きません。横穴式石室の中に入る場合も、蛇や虫に警戒が必要になります。
巻野内石塚古墳からの帰路。
手前からサシコマ古墳、小川塚西古墳、小川塚東古墳、三輪山と続きます。
このアングルだと、すっぽり四点セットにして収まります。手前には生活の匂いも残し、なかなかいい写真が撮れました。