天皇陛下もご利用になられたJR畝傍駅貴賓室。
初代神武天皇を祀る橿原神宮に皇族が参拝される時に使用した貴賓室。開かずの扉と言われた貴賓室が、この2012年秋に公開されました。町家の芸術祭・HANARART会場の一つに選出されたことにより、今回の貴賓室公開となりました。
JR畝傍駅貴賓室に設けられた玉座。
HANARART会場のガイドの方のお話では、残念ながら目の前の椅子は今回の芸術祭用に搬入されたものであり、本物の玉座ではないとのことでした。しかしながら、この空間はまさしく当時のままに保存されており、正真正銘の本物だということです。
皇族が降り立つJR畝傍駅!台湾桧の空間
貴賓室には貴重な写真も掲載されていました。
皇族方がJR畝傍駅で下車し、橿原神宮へ向かわれる時の模様でしょう。セピア色の写真が語り掛けてくるものは、日本の歴史そのものです。
記念に頂いた紀元2672年のカード。
平成24年度の今年は、神武天皇が即位されてから2672年目に当たります。514という数字は、おそらく HANARART会場のJR畝傍駅貴賓室に入場した番号札のようなものだと思います。514番目の入場者ということではないでしょうか。
JR畝傍駅貴賓室の外観。
横長に広がる駅舎の向って右側が貴賓室になっています。
当館の最寄り駅であるJR三輪駅からも、畝傍駅はわずか3つ目の駅に当たります。所要時間も10分ほどでしょうか。何度も乗降した駅ですが、さすがに貴賓室の中を拝見させて頂くのは今回が初めてです。
格天井が一段持ち上がった折上格天井になっていますね。
天井には台湾檜が使用されています。
台湾檜のせいでしょうか、貴賓室には重厚な空気が満ちていました。
皇族がJR畝傍駅に降り立たれた時のお写真が展示されていました。
JR畝傍駅貴賓室は明治期に設立されています。紀元2600年に当たる昭和15年に改装されているそうですが、役目を終えた後は長きに渡って放置されたままになっています。
閉ざされた空間。
普段は中を見ることができないだけに、その神秘性が益々増長されます。
ヨーロピアンテイストの意匠があちこちに見られます。
当時の贅を尽くした空間であることが伺えます。
ガイドの方に促されて、貴賓室の中のトイレまで拝見させて頂きました。
もちろん、この空間も当時のままなんだそうです。
何を差し置いても驚いたのは、当時としては異例の水洗便所であるということ。
こちらはおトイレの手洗い場。
蛇口に H と C の文字が見えます。お湯と水に分かれていたんですね。お湯が出るなどというのも、当時としては異例だったのではないでしょうか。
貴賓室の中の緑色のカーテンは往時のままに残されています。
所々に傷みの見られるカーテンでしたが、時の重みを感じさせる語り部のようでした。奈良は本当に奥が深い。そんなことを感じさせられた一日でした。