「木の埴輪」とも称されます。
高取町の市尾駅近くにある市尾墓山古墳。出土した鳥形木製品が注目を集め、駅前の公園にその模造品が展示されています。園内には風鈴も下がり、わずかな涼を楽しむことが出来ました。
市尾墓山古墳の鳥形埴輪。
死者の魂をあの世へ運びます。古代人にとって、空飛ぶ鳥は“憧れ”だったのかもしれません。神の使いとして鳥を崇め、被葬者に寄り添わせたのでしょう。
市尾墓山古墳を囲んだ鳥形木製品
市尾墓山古墳は古墳時代後期の前方後円墳です。
埋葬施設は後円部で見つかった片袖式の横穴式石室です。凝灰岩製の家形石棺を、石室の奥へ運ぶために墓道が掘られたようです。毎年7月には、夏祭りの一環として燈火会を開催し、横穴式石室も公開されています。
市尾墓山古墳。
墳丘の緑が綺麗ですね。この辺りは巨勢谷の入口付近に当たり、豪族巨勢氏の首長墓ではないかと考えられています。
市尾はにわ公園。
近鉄吉野線の市尾駅前にありました。
市尾駅の駅舎。
小ぢんまりした駅ですね。ちょうど壺阪山駅と葛駅の中間点に当たります。
市尾墓山古墳へは駅から徒歩5分ほどです。駅前通りを真っ直ぐ北へ向かい、スーパーモリヤマで右折すると「高取町歴史研修センター」へアクセスします。職員の方がいらっしゃいましたが、普段は非公開のようです。何か発掘成果のあった時だけ、展示室が公開されるようです。
ちなみに駅前通りを北へ取り、高取バイパスを横切ってどんどん北へ行くと与楽カンジョ古墳に辿り着きます。
市尾はにわ公園の埴輪。
たくさんの埴輪が並べられていました。
頭上には風鈴が吊り下げられています。
猛暑の中、涼やかな音を鳴らしていました。
鳥形木製品の案内。
「市尾墓山古墳」から鳥形木製品が出土しています。胴の周り体の長さから羽根は2m以上あったと推測されます。2005年11月24日の発表によると「6世紀前半」の周濠から木製品数点と一緒に出土したと記されています。
当時は、樹立状態で筒型のハニワと共に「墓山古墳」周囲に並んで建っていたと思われます。
古代、鳥は死者の魂をあの世へ運ぶ神の使いと考えられています。
市尾墓山古墳の周濠で出土したという鳥形埴輪。
当然“ニセモノ”ではありますが、大きさなどは再現されているのでしょう。
こんなふうに並んでいたと推測されます。
なんだかメリーゴーランドのよう(笑)
アルミ缶風車ですね。
鳥形木製品の向こうに、市尾墓山古墳の墳丘が見えています。
一際鮮やかなグリーンが目印ですね。
はにわ公園にも墳丘がありました。
ミニチュア版ですが、それらしく再現されています。
近鉄市尾駅。
以前に訪れた時は、駅前の「市尾はにわ公園」は無かったように思います。市尾墓山古墳は間違いなく「市尾のシンボル」ですからね。ささやかな観光客へのアピールが嬉しい限りです。市尾墓山古墳を訪れたなら、是非市尾宮塚古墳へも足を運んでおきましょう。