春日大社末社の拍子神社。
吉城園を見学するため、奈良県庁の前を通って地下道を抜けます。地下歩道から上がった所に京都や大阪を案内する石標が建っています。そのまま登大路に沿って進むと、程なく左手に祠が見えてきました。
拍子神社。
春日大社の境内からは少し離れた所に鎮座しているため、春日大社の境外末社ということになります。
御祭神は龍笛の名手とされた狛近真(こまのちかざね)。
交通量の多い場所に祀られる祠
狛近真は鎌倉時代の雅楽の達人とされる人物です。
諸芸上達の神様として仰がれています。南都楽所の祖ということで、拍子神社よりさらに東の上手に鎮まる氷室神社のことが頭をよぎりました。氷室神社の境内の舞光社には、南都舞楽の楽祖である狛光高公が祀られています。
地下歩道を抜けると、「左 宇治、京 右 大坂、伊勢」と刻まれた石標が建ちます。
このまま左へ道を取れば、東大寺転害門の前を通って京都方面へと抜けて行きます。石標の向こう側に祠が見えていますよね。あの祠が拍子神社です。
春日大社には実に様々な末社があります。
婦人病にご利益のある赤乳神社はよく知られるところです。この場所に祠があることは以前から知っていましたが、春日大社の末社であるとは存じ上げませんでした。
ここは交通量の非常に多い場所です。
東大寺や春日大社方面へ向かう観光バス、京都方面へ向かう車などが引っ切り無しに行き交います。昔から交通の要衝であったことがうかがい知れます。
龍笛の音色は、低い音から高い音の間を縦横無尽に駆け抜けると言われます。
TVアニメの「まんが日本昔ばなし」のオープニングに登場した龍のように、自由自在に天空を翔け抜ける姿が想像されます。拍子神社に祀られる狛近真のことももっと知りたくなりました。
いつもの東大寺や春日大社参拝時には通らない北側の地下歩道。
普段のルートから少し外れてみると、面白い発見があったりするものですね。