長谷寺の「二本の杉(ふたもとのすぎ)」。
長谷寺の境内隅に、源氏物語「玉鬘」に登場する二本の杉があります。昔のままに残された二本の杉、見れば見るほど歴史の深さを感じさせられます。
二本の杉。
長谷寺駐車場の裏手に、ひっそりとその姿を今にとどめています。
藤原俊成・定家塚の近く!天を衝く2本の杉の木
二本の杉を案内する道標。
長谷寺宝物を収納する宗宝蔵の北を通る道。そこを東進すると、道がY字に分かれています。
この場所からの距離と方向が示され、本堂300m、二本の杉60m、藤原定家塚・藤原俊成碑が90mと案内されていました。
国宝に指定されている長谷寺の本堂。
「大悲閣」の別名を持ちます。
長谷寺に関係する文学作品は数多く、源氏物語の他にも万葉集、古今和歌集、枕草子、蜻蛉日記、更級日記等々が挙げられます。
お不動さんの石仏の向こうに、二手に伸びる二本の杉が見えます。
文学作品に登場する、あの二本の杉です。
藤原俊成・定家塚。
位置関係で言えば、二本の杉はこのお墓の向かって左手にあります。
再び仁王門から続く登廊へと戻ってみます。
399段続く登廊の途中に、二本の杉を案内する道標が掲げられています。右方向へ取り、緩やかな坂道を下って行くと、二本の杉へ辿り着きます。
向こうの方に二本の杉が見えて参りました。
紅葉が鮮やかですね。
春の桜、初夏の牡丹、梅雨時の紫陽花、秋の紅葉、冬の寒牡丹と一年を通して自然を楽しむことができる長谷寺。花のみてらと呼ばれる所以です。
天を衝く二本の杉。
初夏の頃の二本の杉は濃い緑に覆われています。角度を変えて見上げてみると、また違った印象に映りますね。
長谷寺の二本の杉に伝わるお話・・・
初瀬詣での旅僧の前に玉鬘の霊が現れます。
二本の杉の下へ僧を案内し、亡母の侍女・右近と巡り会った事を話します。我が国の古典の中でも一際異彩を放つ源氏物語。二本の杉は紫式部への憧憬を誘います。
長谷寺本堂。
神々の住む霊山として崇められる三輪山の裏手にそびえる泊瀬山(初瀬山)。その中腹に位置する長谷寺・・・泊瀬山は「隠り国(こもりく)」と呼ばれ、死者の魂がとどまる場所とされていました。
西国三十三ヵ所観音霊場の第八番札所・長谷寺。
同じく観音霊場の第十六番札所である京都の清水寺を思わせる舞台は、長谷寺の見どころの一つでもあります。清水寺の下界エリアも葬送の地として有名ですが、長谷寺の背後の山にも死者のイメージが重なります。
観音霊場としての目玉は、ご本尊の十一面観音菩薩立像です。
特別拝観期間中に体験できる長谷観音との結縁は、生涯忘れることのできない思い出となります。
長谷寺参詣の際は、訪れる人も少ない二本の杉ではありますが、是非一度足を運んでみられてはいかがでしょうか。牡丹や紅葉などの俗っぽさとはかけ離れた、静かな長谷寺が堪能できることでしょう。