いよいよ大詰めを迎えた奈良国立博物館の「奈良博三昧」。
数ある奈良博(ならはく)コレクションの中でも選りすぐりの優品が展示されています。夏休み前からの開催で、今週末で終了です。一番の目玉はやはり、走り大黒とも称される伽藍神立像(がらんしんりゅうぞう)でしょう。
奈良国立博物館に展示される伽藍神立像。
動きのある木造立像です。
彩色も施されているようで、鎌倉時代の作とされます。
禅宗寺院に祀られる伽藍神
人間味あふれるお姿です。
普通仏像と言えば、静かに印を結んで瞑想する姿を思い浮かべます。ところが、この伽藍神は手に何かを持ちながら走り出そうとしています。像高は56.3cmですから、そんなに大きな仏像ではありません。表現が豊かなせいか、実寸よりも大きく見えます。
『奈良博三昧~至高の仏教美術コレクション~』開催中の奈良国立博物館。
明治28年(1895)に国内2番目の国立博物館としてスタートしました。
今回の特別展では写真撮影が許可されています。フラッシュ撮影や自撮り棒、三脚、動画撮影などは禁止されていますが、SNSなどへの投稿は可能なようです。
台座もちゃんと付いていますね。
「走り大黒」の通称で親しまれてきたようです。
当初は”伽藍神”とは捉えられていませんでした。確かに素人目には大黒さんに見えますね。今から10年ほど前に、このようなポーズをとる像が禅宗寺院などに祀られる伽藍神だと判明しました。
修行を怠る者を懲らしめるため、釘と槌を持って走り回る姿が彫り込まれています。「お寺の見回り役」と奈良博のパンフレットにも案内されていました。
全方位から見学できます。
かつての仏像拝観は、正面からのみということが多かったような気がします。
時代が進み、様々な展示法が工夫されるようになりました。このアングルから見る伽藍神立像は、より疾走感が感じられます。360度色んな角度から眺めながら、怯えていたであろう修行僧の姿を想像します(*^^)v