葛の葉稲荷を祀る安倍文殊院!晴明生誕の謎

白狐と人間が契りを結ぶ。

そんな怪婚伝説により、陰陽師の祖である安倍晴明はこの世に生を受けました。

晴明生誕の地と伝わる安倍文殊院の境内に、母親である白狐が手厚く祀られています。

安倍文殊院の葛の葉稲荷

本堂向って右裏手に、葛の葉稲荷へ通じる鳥居があります。

さすがにお稲荷さんというだけあって、伏見稲荷大社の千本鳥居を思わせる複数の鳥居が連なります。

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信太森の白狐伝説

狐が美女に化けて人間と契りを結ぶ。

昔から洋の東西を問わず、よくある筋書きではありますが、ここ安倍文殊院にもその痕跡を見ることができます。

葛の葉稲荷の伝説は、大阪府和泉市の「信太(しのだ)の森」に伝わるお話です。

信太の森の白狐が人間の女(葛の葉姫)に化け、人間である安倍保名(あべのやすな)と契ります。一子をもうけることになるわけですが、やがて本物の葛の葉姫に正体を見破られることになります。

葛の葉稲荷

何本もの鳥居をくぐりながら階段を上って行くと、小高い丘の上に葛の葉稲荷が祀られていました。

息子である安倍晴明もジャンボ花絵を見降ろす展望台の「晴明堂」に祀られていますが、お母さんの白狐も駐車場や金閣浮御堂を見降ろす高台に祀られていました。

正体を見破られた白狐は、恨みの歌を残して去って行きます。

恋しくば たづね来てみよ 和泉なる 信太の森の うらみ葛の葉

歌舞伎の「葛の葉」のクライマックスの場面は、「葛の葉子別れ」としてよく知られるところです。

我が子から引き離された白狐の悲哀。後に陰陽師の開祖として有名になり、21世紀の今も語り継がれる人物になろうとは・・・母親である白狐も想像できなかったのではないでしょうか。あるいはそのことを期して、この世に安倍晴明を産み落としたのでしょうか。

干支花絵

晴明堂の前の展望台から、2013年の干支である巳のジャンボ花絵を望みます。

ここの展望台には、「天文観測の地」と書かれた石碑が立っています。安倍晴明がこの地から占いを試みていたとされる場所です。

葛の葉稲荷

葛の葉稲荷の祠。

稲荷社らしく、両脇を狐が陣取っていました。

狐から生まれた安倍晴明の好きな食べ物は何だったのでしょう。

俗っぽく想像するなら、やはり油揚げだったのかもしれません。ジャンボ花絵が登場するこの時期に安倍文殊院を参拝すると、なぜか大晦日の年越しそばのことが頭をよぎります。ちなみに私の大好物はきつねそばです。

日本料理における献立の名前に、信太巻きや信太煮というのがあります。

どれも油揚げを使った料理の名前として知られます。以前に海老芋の砧巻きを作りましたが、あの一品は海老芋の信太煮、あるいは海老芋の信太巻きとしてもいいでしょう。

安倍文殊院

人間と動物が契りを結ぶなどというようなことは、本来は有り得ないことです。

歴史秘話と言うにはあまりにも空想的で、現実感に乏しいものがあります。

何かを暗示するエピソードなのでしょうか。そういえば三輪山神話の中にも、蛇と人間の神婚譚が語り継がれています。数多くの不思議な逸話に彩られる奈良県桜井市は、知れば知るほど面白い歴史再発見の地でもあります。

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