清水寺の馬駐(うまとどめ)をご案内致します。
清水寺仁王門の向かって左側に、室町時代の重要文化財である馬駐があります。
清水寺の馬駐(2013年夏撮影)。
以前に清水寺を参拝した時には見落としていたのですが、2010年に解体全面修復された馬駐がひっそりと佇んでいました。
馬駐の逆鐶(さかさかん)!清水寺の七不思議
馬駐(うまとどめ)と言うからには、馬の駐車場のような役割を果たしていたのでしょう。
仕切りが見えますよね。
五頭の馬を繋ぐことができたようで、その規模からも貴重な遺構として今に伝わります。
正面およそ10.5m、側面5m強のサイズを誇ります。
応仁の乱後に再建された清水寺の馬駐からは、清水寺参拝の際に数多くの馬を繋いできた歴史が垣間見えてきます。紅葉で知られる成就院や寺務所へ向かう坂道の手前に、清水寺の歴史を映す遺構があることをご存知の方はそう多くはないのではないでしょうか。
清水寺仁王門の手前、向って左側の狛犬の背後に馬駐はあります。
お寺の門前に「下馬」と書かれたお札をよく見掛けますが、ここで馬を下りて参拝して下さいという案内を意味しています。ちなみに「下馬評」という言葉は、下馬札の近くで主人の参拝帰りを待つ従者たちの四方山話に端を発します。
清水寺の馬駐周辺でも、様々な噂話が飛び交っていたことでしょう(笑)
清水寺の狛犬はどちらも口を開けた阿形のスタイルです。「阿吽の呼吸」で、口を閉じた吽形の狛犬が片方に配されるのが普通ですが、両方とも口を開けているのは珍しい形です。清水寺の七不思議の一つに数えられているのも頷けますね。
清水寺の七不思議といえば、馬駐もその一角を担っています。
馬の手綱を繋ぐ金具の向きが二箇所だけ違っているようです。取り付けの向きが違うということで、逆鐶(さかさかん)と呼ばれています。意図的な設計か否か、今のところ定かな理由は分かっていません。
清水寺の舞台(2013年度)。
長年の風雪に耐えてきた清水寺の舞台も、いよいよ修理工事に入っていきます。
門前のお土産物屋さんの試食コーナーで京都名物のおたべを頂きました。
この場所は日本屈指の観光スポットです。
修学旅行生や外国人観光客など、ひっきりなしに参拝客が行き交う賑やかな場所です。
そんな場所の間近に馬駐があるとは、案外知られていない事実なのかもしれません。
大概の参拝客が仁王門をくぐって、そのまま真っすぐ国宝の舞台へと向かうのが常です。時には参拝ルートを外れてみるのも、面白い発見があっていいかもしれません。
馬との関わり無しには語れない日本の歴史。
願い事を書く絵馬にも、生きた馬の姿が見え隠れします。神馬と呼ばれる馬が、神社に奉納されているのをよく見掛けますが、馬はそれだけ貴重な存在であったことがうかがえます。結婚式の引き出物の語源にも、当時の宝物であった馬が関係していますよね。
清水寺参拝の際には、重要文化財に指定されている馬駐を見ておかれることをおすすめ致します。