京都の八坂神社境内に、刃物の神様を祀る刃物神社が奉祀されています。
京の出口の一つ・粟田口にある粟田神社も刀剣で知られますよね。八坂神社と粟田神社はお互いに徒歩圏内で、このエリアには刃物の歴史が感じられます。四条通のどん突きにある西楼門から八坂神社境内に入ります。初詣シーズンとあって、かなりの人だかりでした。
刃物神社。
後方には大きな磐座のようなものが見えます。
当初はスサノオをはじめ、縁結びのオオモノヌシ、商売繁盛のえべっさんと三社詣でをしようかと訪れたのですが、あまりの人の多さにあっさりと諦めました(笑) 代わって西楼門から左方向に進み、本殿後方の北側を目指します。
御祭神は天目一箇命!ふいご祭の刃物神社
祇園さんと呼び親しまれる八坂神社。
夏の祇園祭は八坂神社の代名詞にもなっています。祇園祭は疫病退散の祭事ですが、刃物神社にも「ふいご祭」という例祭があります。「いい刃の日」に因んで、毎年11月8日に刃物の供養が行われます。
うん?刃物社!
祖霊社、厳島社と共に案内されている刃物社という文字に反応してしまいます。
こちらは大晦日から元旦にかけて行われる「をけら詣り」の灯籠です。
無病息災を願って、毎年多くの参拝客で賑わいます。NHKのゆく年くる年でも、をけら詣りの火を大切に持ち帰る人々が放映されていましたよね。
これは何のお社だったかな?
境内には疫神社、太田社、美御前社、悪王子社等々、数多くの摂末社が祀られています。
ありました、こちらが八坂神社末社の刃物神社。
五社の東側に祀られていました。
苦難を断ち切り、未来を切り開く。
刃物の威力を連想させる力強い言葉ですね。
例祭日は11月8日で、ふいご祭が執り行われます。
ふいご祭に刃物を持参すれば、無料で包丁を研いでもらえるようです。当日はお火焚き祭も実施されます。
祠は空洞になっていて、奥に磐座が立ちます。
おそらくパワーみなぎる岩が御神体なのでしょう。
刃物神社には製鉄・鍛冶の神とされる天目一箇命(あめのまひとのかみ)が祀られています。奈良県桜井市鹿路の天一神社にも祀られていた神様ですね。かの有名な天岩戸神話でも、アマテラスを誘い出すために一役買った神様とされます。
刃物大神の由来。
京都は平安時代より明治維新に至るまで王城の地として栄え、その間、刀剣を初め刃物の製作に幾多の名工を輩出、刃物発祥の地として隆盛を極めてきました。刃物の基礎はこの地の土壌に培われ、また、ここで修業せし人々をも各地に転出させ、この技術を源流として、それ ぞれ刃物産地の基礎を確立いたし現在に至っております。
わたくしたちは、これら祖先の遺業を偲び伝統をうけつぎ、京刃物の真髄を後世に伝えるとともに、業界の振興と啓蒙を目的として、ここに 有志相図り刃物神社を奉献するに当り、その由来を識す。
刃物神社建設委員会による碑文が刻まれていました。
三社詣でこそ叶いませんでしたが、刃物にまつわる神様に出会えただけでも満足です。それにしても、一口に八坂神社と言っても実に様々なお社がありますねぇ。