昭和天皇の親拝を祈念して建立された大神神社の大鳥居。
外国人観光客にその説明をする際、どの単語が最も適しているんだろうか?そんなことをぼんやりと考えていました。
The big torii gate was built to commemorate Emperor Showa’s visit.
概ねこんな感じでいいんだろうと思います。他動詞の commemorate には「~の誉れを後世に伝える」という意味合いがあります。昭和天皇の行幸を記念して建てた、という意味ですね。
天理市の大和神社。
戦艦大和ゆかりの大和神社も、大神神社と同じく郷土の誉れです。
普段何気なく使っている「誉れ(ほまれ)」という言葉ですが、少し気になったので詳しく調べてみました。
「褒める」に通じる誉れ!ほまれの語源を解説
そもそも誉れという言葉には、「褒める」にも似たニュアンスがあります。
対象となるものを祝い、褒め称えることを意味しています。言葉をもって讃えることが「言祝ぐ(ことほぐ)・寿ぐ」ですね。
なでしこジャパンの澤穂希(さわほまれ)選手の名前にも見られる「ほまれ」。とてもいい響きを持った言葉だと思います。
大神神社大鳥居の亀腹。
巨大な鳥居故、その基礎となる亀腹もビッグサイズです。
古語辞典を紐解けば、讃えることを意味する「誉む・褒む(ほむ)」という項目があります。この「ほむ」の「ほ」は「秀」を意味しています。
”大和は国のまほろば” の「真秀場(まほろば)」にも見られます。あるいは秀真伝(ホツマツタエ)の「秀(ほ)」と言ってもいいでしょう。「ほ」はそのまま「穂」にも通じています。
稲穂の「穂」。穂先と言うぐらいですから、穂は先っちょにあります。
そう、つまり一番てっぺんにある優れたもの、それが「ほ」なのです。
大正楼中庭の紫陽花。
名馬の誉れが高い、秀才の誉れが高いなどと使われます。
皆が口々に褒め讃え、すこぶる評判の良い様子がイメージできます。今の時代において大変評判が良く、異口同音に褒めちぎられている。さらに付け加えるならば、この誉れという言葉には時間軸も加味されるのではないかと思われます。空間共有のみならず、歴史的にも名を残すのが誉れです。
昭和天皇の御親拝を記念して建てられた大神神社の大鳥居。
既にご逝去なさっている昭和天皇ですが、その誉れを後世に伝えるべく建立されたのが大鳥居である。そのことを今一度、噛み締めておきたいと思います。