日本語の相性という言葉には、占いのニュアンスが含まれています。
人の生年月日を陰陽五行説にあてはめ、男女・友人・主従などの相性を占います。お互いに上手くかみ合えば、相性がいいということになります。英語で相性を表現する際には、化学反応を意味する chemistry が使われます。
化学作用を思わせるような作用やプロセスのことを chemistry と言うわけですが、なかなか面白い単語ですよね。
常識では考えられないような、unbelievable な作用とでも申しましょうか、男女の仲には外部には知り得ない何かが存在します。
chemistry は愛の不思議
私は20代の社会人時代、東京で異業種交流会を主催していました。
あらゆる業界の人たちが集まる交流会では、様々な化学反応が引き起こされます。それを見て楽しみながら、出会いを演出する場を創造し続けていました。AさんとBさんが出会って生み出されるモノは、AさんとCさんが出会って生み出されるモノとは明らかに違います。あるいは似ているのかもしれませんが、それぞれに違います。
chemistry(化学反応)は男女の仲にも存在します。
- the chemistry of love (愛の不思議)
- There’s good chemistry between them.
異質なモノの出会いは、時に思いもよらない反応を引き起こします。
日本語の相性には東洋的発想が感じられますが、英語の相性には西洋的な考え方が見え隠れしているような気が致します。相性を化学反応に例えるなんて、いかにも西洋的な観点がそこには感じられます。
chemistry という単語を使わずに、二人の相性を言い表してみます。
- They are suited to each other.
- They are congenial.
想像していた通り、あまりパッとしない表現になってしまいますね。
やはり、There’s good chemistry between them. の方がしっくり来ます。
2001年にデビューした男性デュオに、ケミストリーという名前の二人組がいます。川畑要と堂珍嘉邦によって構成されるケミストリーですが、その名前の由来にも、両者の歌声が “化学反応” を起こし無限のパワーを生み出すという期待が込められています。
結婚式は二人の chemistry を確かめ合い、永遠の愛を誓う場です。no chemistry between us とならないよう、二人の将来に幸多からんことをお祈り申し上げます。