長谷寺から笠山三宝荒神へ向かう途中に摩崖仏が彫られていました。
見廻不動尊(みかえりふどうそん)と呼ばれているようです。
国道38号線沿いにあります。
この写真は上手から撮影していますが、長谷寺から向かう場合は国道左手に現れます。瑞垣の中に自然のままの岩肌が迫り出しています。
初瀬川沿いで見守る空海の不動明王
見廻不動尊は弘法大師空海の作と伝わります。
空海は長谷寺にお詣りした後、高野山金剛峰寺の建立祈願のため笠山へ向かいました。その際、この場所で深く回顧し、心を浄めるようにと彫ったと伝えられます。
断崖に彫られた不動明王。
ここで回顧したから、「見廻不動尊」なのですね。
見廻不動尊の案内板。
弘法大師豊山に参籠をおわって笠山の方へ向われた時、此処で回顧されまことに金剛界・胎蔵界の深理おのづと顕れた秘密荘嚴の霊場故、この山入る者は心を定め、浄めるようにと、この霊山の護り神である堅固不壊たる須弥山王の上に不動は、不動明王(見廻不動尊みかえりふどうそん)御形を彫られたものだと傳えられているので、誰しも此明王の加護に蒙りの心地決定を祈願するべし。
長谷寺から初瀬川に沿って道を上ること1㎞余り、ここは決意の場所ですね。
灯籠が建ち、お供え物もありました。
背後には初瀬山がそびえます。
道路を挟んだ反対側には初瀬ダム。
奈良県が管理するダムで、昭和63年に竣工しています。
洪水調節や河川維持用水の補給、および上水道用水の供給を目的とした多目的ダムです。
国道のすぐ脇です。
長谷寺に近いためか、意外と交通量も多い場所です。見廻不動尊を見学している最中も、数台の車が行き交いました。針インターチェンジへ抜けていく道でもあり、遠方へ向かう車も通ります。
苔生した岩。
おのずと時間の経過が偲ばれますね。
摩耗のためか、かなりその線刻は微妙です。
長谷寺から徒歩で向かうには少し距離があります。車でアクセスするのがベターですが、周辺に駐車場はありません。此処はいつも何かあるなと思いながら通り過ぎていた場所です。お時間に余裕のある方は、一度近くでご覧になってみて下さい。