日本三大山城の一つ「高取城」。
高取城へのアクセスルートに天台宗のお寺がひっそりと佇みます。その名も「宗泉寺(そうせんじ)」。高取藩主植村家の菩提寺で、本堂裏手には歴代藩主の墓があります。
宗泉寺の撫で仏(なでぼとけ)。
撫でた箇所が良くなるという仏像でしょう。お寺の本堂外陣に座す賓頭盧尊者を思わせますが、その出で立ちは全く異なります。頭を丸めた若僧が合掌し、片方の足を踏み下げていました。
徳川家の譜代家臣!元禄年間に建立された宗泉寺
宗泉寺の建立は1698年(元禄11年)と伝わります。
江戸時代から今に続くお寺のようですが、宗泉寺まで登って来る途中に見た植村家長屋門が頭をよぎります。植村家は徳川家の譜代家臣だったようです。いわゆる外様の反対ですね。徳川を名乗る以前の“松平姓”の頃から主従関係にあり、先祖代々徳川家に仕えた家柄です。
なでぼとけの左足。
蓮の上に足を置いていました。
こういう格好を踏下坐と言うのでしょう。中宮寺の半跏思惟像などは、右足を曲げて左太腿の上に乗せています。その点、宗泉寺の撫で仏は右足を曲げてはいるものの、太腿の上に乗せてはいません。不完全な半跏踏下坐といったところでしょうか。
宗泉寺本堂。
この裏手に歴代藩主の墓所があります。
宗泉寺の寺号標。
高取城登山ルートに石標が立っていました。真っ直ぐ進めば本格的な登山道へと入ります。宗泉寺へは、ここを右手へ上がって行きます。
木立の中に石垣が見えます。
これもお城の名残なのでしょうか。
山門へと近づきます。
手前の石が陽石に見えてきますね。
宗泉寺山門。
御本尊は阿弥陀如来のようですが、残念ながら拝観は叶いませんでした。
石燈籠の台座。
これは朱雀でしょうか。なかなか立派な彫刻が施されています。
本堂前の覆い屋根の中。
静かに座すなでぼとけが印象に残ります。
境内には四国八十八箇所霊場の分霊も祀られていました。
本堂前の池には鯉が泳ぎ、整然とした雰囲気に包まれています。数年前に土佐街道を訪れた際は下子島で引き返していましたが、上子島まで足を延ばして正解でした。