奈良市法華寺町にあるウワナベ古墳。
後妻を意味する「うわなり」。天理市にもウワナリ塚古墳があり、その古墳の名称も興味を引きます。ウワナベ古墳は国内第12位の規模を持つ古墳で、佐紀盾列古墳群の最東端に位置しています。周濠を歩くことが出来る、全長270~280mの巨大前方後円墳でした。
ウワナベ古墳。
周濠の水面に雲と墳丘が映り込みます。東に国道24号、西から北にかけては航空自衛隊奈良基地が隣接しています。散策路の“歴史の道”を辿れば、在原業平の不退寺にも通じています。
ウォーキングを楽しむウワナベ古墳!自然と親しむ古墳体験
ウワナベ古墳は歩いて楽しむ古墳です。
周遊向けのウワナベ古墳ですが、墳丘長280mの箸墓古墳に次ぐ規模を誇ります。
先ごろの調査により、同じ佐紀盾列古墳群の五社神古墳よりも大きいことが判明しました。卑弥呼の墓とされる箸墓古墳も周囲を巡ることが出来ますが、歩いた感じではウワナベ古墳の方が大きいのではと思わせます。やはり周濠の巨大さによるものでしょう。
平城山風致地区の立札。
ここはウワナベ古墳の南西隅に当たります。航空自衛隊の基地から東へ向かうと、まずはこの場所に出ます。基地を挟んだ西にはコナベ古墳があります。
ウワナベ古墳の後円部。
お濠が広い!墳丘の裾にはシートが被せられていますね、以前の調査跡でしょうか。
JR奈良線の線路とウワナベ古墳。
橋の上から撮影していますが、この橋を渡った東方には不退寺があります。橋から京都へ向かう国道24号をはさみ、その西側に佇むのがウワナベ古墳です。
自衛隊基地の柵と道標。
左手に見えている墳丘はコナベ古墳です。この道を北へ向かい、道なりに北西方向へ進めば磐之媛命陵(ヒシアゲ古墳)に辿り着きます。
航空自衛隊の奈良基地。
出入口の守衛さんが忙しく立ち回っておられました。
日本の空の安全を守る航空自衛隊。
敷地内には軍用機も展示され、またとない光景に出会えます。ウワナベ古墳の全容は空からのみ把握できます。航空写真が無ければ、佐紀盾列古墳群の全容も分からないでしょう。巨大古墳と基地は “空つながり” ですね。
基地から東へ歩を進めると、ウワナベ古墳が見えてきました。
ただひたすら、巨大です。奈良県内にも渋谷向山古墳(全長300m)や五条野丸山古墳(全長310m)といった巨大前方後円墳が存在しますが、やはり体感ではウワナベ古墳なのです。
ウワナベ古墳が一番大きいのです。
周濠の大きさに加え、綺麗に整備された感も手伝います。
奈良県ナンバーワンの五条野丸山古墳には周濠がありません。墳丘に登ることはできますが、木々が生い茂っておらずプリミティブな印象に欠けます。その点、ウワナベ古墳は神秘的です。中は一体どうなっているんだろう?と興味を抱かせます。
ウワナベ古墳の被葬者ですが、宇和奈辺陵墓参考地として八田皇女を治定しています。
仁徳天皇の後妻ですね。
発掘調査が進めば、被葬者は覆される可能性があります。仁徳天皇の皇后・磐之媛がウワナベ古墳に埋葬されているとする説もあります。
雄大に構える前方後円墳ですね。
周囲の喧騒をよそに、古代からただそこに居続けます。築造は5世紀中頃とされ、お隣のコナベ古墳よりも少し新しい古墳と言われます。
前方部を左に見ながら東へ進みます。
後ろから数台の車に追い越されました。国道へ抜ける近道になっているのでしょうか。
歴史之道の石標。
ウォーキングコースとして整備されているようです。
緑色のシートが掛けられていました。
ウワナベ古墳の墳丘は三段築成で、斜面には葺石が敷かれていたようです。
一段目の周囲には埴輪列が確認されています。
墳丘西側には造り出しがあるようです。
祭祀が行われていた可能性がありますね。
ウワナベ古墳の周りをジョギングする市民ランナー。
水辺で緑を見ながらのランは気持ちいいでしょうね。
前方部の東端から一旦、国道へ出る必要があります。
墳丘の東側は、真横から見ることは出来ないようです。この後の周回は、国道沿いの歩道を北上することになります。左手の生垣が邪魔をして、周濠も墳丘もシャットアウトされていました。
国道へ出ます。
車道脇の歩道を北へ進みます。
この道です。
北へビュンビュン車が走り抜けます。木津川、京都方面へ向かう車ですね。
国道の東へ出ると、不退寺や狭岡神社があります。
ウワナベ古墳の南西には海龍王寺や法華寺、平城宮跡が広がっていました。
ウワナベ古墳の航空写真。
一番右端がウワナベ古墳、その左にコナベ古墳です。コナベ古墳の左は水上池で、その上にヒシアゲ古墳(磐之媛命陵)が並びます。水上池の左側に見えているのは市庭古墳でしょう。
不退寺に立ち寄った帰り道。
JR線路の東側からウワナベ古墳を望みます。
ここからも前方後円墳の形が分かりますね。
前方部と後円部を分ける “くびれ部” が確認できます。
再び国道沿いを北上します。
このすぐ左手には周濠があります。
古墳の北東端辺りに来ると、ホテルがありました。
ホテルから西へ入り、今度は後円部の周りを巡ります。
ウワナベ古墳の後円部。
墳丘まではかなりの距離があります。この手の届かない感じが、より一層ウワナベ古墳の魅力を高めているのでしょう。
北西隅の後円部。
どっしりとしています。
実際には奈良県ナンバー4の規模ですが、そう感じさせない雰囲気がありました。