焼くと風味の良い魚です。
皮目に旨味が詰まっています。ぱっと見は金目鯛に似ていますが、よく見ると別種の魚であることが分かります。南方系の魚ですが、最近は徐々に北の方でも見られるようになりました。キンメダイ目イットウダイ科アカマツカサ亜科に属する恵比寿鯛(えびすだい)。
恵比寿鯛の姿造りです。
皮の旨味を生かすため、焼霜造りにしてお出しします。実に口の大きな魚です。夜行性の肉食魚で、金目鯛に比べ浅い岩礁域に棲息しています。
鎧をまとう Japanese Soldierfish
恵比寿鯛の特徴は、何と言っても体を覆い尽くす硬い鱗!
水洗いの際、ガラスのように硬いウロコに戦意喪失する人も多いでしょう。鱗取りでバラ引きにするのですが、なかなか思うようにウロコが取れません。非常に硬く張り付いており、鱗取りに悪戦苦闘します。恵比寿鯛を丸ごと湯にくぐらせてから、氷水に取る方法もあるようです。一旦湯通しすると、比較的鱗も剥がれやすくなります。
びっしり硬いウロコに覆われています。
英名を Japanese Soldierfish と言うようですが、納得の命名ですね。
恵比寿鯛は真正面から見ると、とてもインパクトがあります。
水族館などでも、このアングルが人気のようです。バーナーで皮を炙ることにより、独特の風味が生まれます。エビスダイは焼霜造り、湯霜造りに限ります。
ほんのりと桜色の白身です。
血合いも濃くはなく、薄っすらとしています。今回の姿造りにはイサキ、鯵、イクラ、栄螺なども盛り込みました。
顎もごついですね。
末広胡瓜を添えて、姿造りを演出します。
キロ3,500円余りのエビスダイ。
入荷した個体は1.7kgあり、かなりの高級魚です。背びれの棘(きょく)が太く、エビスダイの特徴の一つとなっています。
唐草大根や蕨大根をイヤリングのように飾ります。
群れで行動しないためか、まとまって獲れない魚です。水揚げされても1尾か2尾程度で、非常にレアで貴重な魚とされます。
骨も比較的硬いですね。
湾曲して深く入る腹骨は、三枚おろしの難敵です。思い切ってごっそり取り出し、焼いて食べるのがおすすめです。腹骨周りの身も香ばしく、とても美味しい部位です。
頭をはじめ、アラからも旨味たっぷりの出汁が抽出できます。
改めて捨てるところの無い魚でした。
一物全体、SDGsにも適ったエビスダイ。入手できる機会は多くありませんが、これからも大切にしていきたい食材の一つです。