山の辺の道の起点にある海石榴市(つばいち)。
海石榴市の地名は、花の椿と市場に由来しています。
海石榴市観音の周辺地図。
初瀬川の畔に仏教伝来の地碑が案内されていますね。
山の辺の道を大神神社方面へ向かえば、途中に金屋の石仏や三輪山平等寺があります。
海石榴市で買い求めたお供えの品!長谷寺詣で
万葉集には、
三諸(みもろ)は人の守(も)る山 本辺(もとべ)は馬酔木花開き 末辺(すえべ)は椿花開く
とあります。
向こうに見えるのが ”三諸山”こと三輪山。
古代から三輪付近には椿の木が多く生えていたようです。海石榴市は歌垣の行われた地としても知られます。遣隋使を盛大に出迎えた場所でもあり、多くの人で賑わったことが伺えます。
ところで、つばいちの表記には「海石榴市」と「海柘榴市」があるようですね。どのように使い分けるのか定かではありませんが、概ね木偏の無い「石」が多いようです。
海石榴市観音。
枕草子には、都人が長谷寺に詣でる際、大御輪寺の十一面観音(現在は聖林寺に安置されている国宝の十一面観音)を拝み、海石榴市に於いて必ずお供えの品を買い求めたという記述が残されています。
市場で賑わっていた様子もうかがえますね。
椿市(つばきいち)から「つばいち」に転訛していったのではないでしょうか。
仏教伝来の地碑。
日本の歴史にきらりと光る金字塔。
末辺(すえべ)は椿花開く・・・万葉集にも記された海石榴市の風景が蘇ります。