節分の日のお食事会にイワシの辛煮をお出ししました。
魔除けの柊鰯(ひいらぎいわし)の材料にも使われるイワシ。門前に柊の小枝と焼いた鰯の頭を挿す風習は全国各地に見られますが、節分といえばやはり鰯の存在にスポットライトが当たります。
鰯の辛煮。
イワシは臭い。
これは誰もが感じることなのかもしれません。青魚特有の臭みは、裏を返せば素材の持つ旨味でもあるのですが、なぜか嫌われることの多い鰯の臭味。
鬼退治のヒイラギ鰯!いわしの臭いと伝説
節分に登場する鬼でさえも、その鰯の臭いに弱いとされています。
柊の尖った棘で鬼の目を刺し、鰯の臭いで寄せ付けない。節分の習慣として根付いた柊鰯には、そんな言い伝えがあります。山の辺の道の夜都岐神社周辺を散策している時に、民家に柊鰯を見つけたことを思い出します。
写真のイワシの辛煮をよく見てみると、イワシの小骨が浮いて見えますね。
骨ごと鰯を頂いて、普段不足しがちなカルシウムを補います。
辛煮の作り方ですが、まずは鰯がひたひたに浸かるぐらいの酢を入れて弱火で下煮することから始まります。こうすることによって鰯の骨も柔らかくなり、そのまま食することができるようになります。おまけに余分な脂も落ちて、気になる臭みも消えます。
大神神社の節分祭に集まる参拝客。
鰯を百回洗えば鯛になる、なんていう言葉もあります。
そのぐらい栄養素にも優れ、美味しい魚だということなのでしょう。大衆魚のイメージからか敬遠されがちな鰯の臭味ですが、私たちが普段使っている出汁じゃこの煮干しは、カタクチイワシの稚魚を茹でて干したものです。
おいしい、美味しいと言って口にしている煮干しの正体は、実はイワシだということを再認識しておきたいですね。
人参を皮ごとピーラーで剥き、油揚げや椎茸も細切りにして加えます。
鰯の旨味を存分に吸い込んで、実に美味しいイワシの辛煮の出来上がりです。臭味消しには生姜や梅干しを使っています。
鰯のにおいが好きなのか嫌いなのか・・・実は節分の鬼は、鰯の匂いに釣られてやって来るという説もあります。
鰯の臭いを毛嫌いするどころか、その匂いに引き寄せられてやって来る。そこを柊の棘で刺してしまう。そんな言い伝えも残されています。どちらが本当なのか分かりませんが、それだけ鰯そのものがクセになる味であることに間違いはなさそうです。
鰯の辛煮を食べて、節分の魔除けパワーを身にまとってみるのもおすすめです。
栄養価にも優れた鰯は、鬼退治においてもこの上なく心強い味方となってくれることでしょう。