和えもの料理が一品あると、どこかほっとした気分になるものです。
干物の白桃が手元にあったので、季節のリンゴと合わせてみました。仲を取り持つのはゴマと胡桃(くるみ)です。水分を飛ばした干物と、水分を持つ果物の取り合わせ。これがまた、いい味わいを生み出してくれます。
当たり鉢でゴマと胡桃を当たります。
普通は「すり鉢」と言いますが、”する” という言葉が縁起が悪いからか、なぜか「する」の代わりに「当たる」という言葉を使う習慣が身に付いています。料理用語のあるあるでしょうか。
みんずりした食材と合わせる胡麻和え
甘味、辛味の味の調整をして、白桃とリンゴを投入します。
写真はちょうど白桃を入れたところですね。干物の白桃って、薄くスライスするとなかなかいい感じです。
ぶどうの巨峰と大根。
ぶどうのおろし酢和えを作るプロセスです。こちらは干物を使っていないものの、大根おろしの辛味とぶどうの甘味が上手くマッチしています。
先日、料理番組を見ていたら、「牛肉のぶどうソース」というレシピが紹介されていました。
同じく巨峰を使った料理でした。ワインの材料がぶどうであることを考えると、あながち突飛な料理でもないように思えてきます。バルサミコ酢を使って、上手くまとめ上げられていました。
ソフトクリームのように見えるのは、お寺や神社でよく見られる擬宝珠(ぎぼし)ですね。
あらゆる願い事を叶えてくれる宝珠に似せた形をしています。その向こう側に見えるのが、奈良県桜井市出身の文芸評論家・保田與重郎の顕彰碑と、縁結びの神様として知られる安倍文殊院境内の白山堂です。
白山堂には、イザナギとイザナミの縁を取り持ったと伝えられる菊理姫(くくりひめ)が祀られています。
「くくる」という言葉を連想させる神様の名前ですよね。一括りにする、括り合わせる、そんなイメージが湧いてきます。お互いに異なものを一つにする、なんだか料理の和え物にも通じるものがあるなと、ぼんやり考えてしまいました。
団体のお客様のご昼食にお出しした柿の和え物。
水分をたっぷり含んだフルーツの舌触りのことを、京言葉では「みんずりした」と表現するようです。
まさしくその「みんずりした」食感の果物が、喉を詰まらせそうな食材に潤いを与えてくれます。和え物のなせる業ですね。干物と果物の取り合わせは、アイディア次第で幾通りも用意されているはずです。ヒントはどこに転がっているか分かりません。頭の中がリラックスした状態で、また考え直してみたいと思います。