深海の海老の種類は多い!
センジュエビ(千手蝦)が入荷し、改めてそのバリエーションに驚きました。今回はアカザエビやヘリダラと共に甘辛く煮付け、海老の旨味を堪能します。
センジュエビ。
どこに目が付いているのか分かりませんが、どうやら退化しているようです。
深海で暮らすに当たり、視界の確保は不要と踏み進化してきたエビです。頭部の幅が広く、硬い鎧に覆われているようです。手のひらサイズの小さな海老ですので、可食部は少ないと言わざるを得ません。
脚の先端のハサミ!異形の深海エビ
センジュエビの名前は、千手観音のような姿に由来しています。
普通の海老の鋏(はさみ)は前方に一対のみですが、センジュエビにいたっては全ての脚にハサミが付いています。とても小さいハサミで見過ごしがちですが、よ~く観察してみると確かに可愛いハサミが付いているのが分かります。
センジュエビとアカザエビの旨煮。
フランス料理などでよく見かける手長エビは、このアカザエビのことです。センジュエビとは違い、スマートな体形でシュッとしていますね。どちらも海底の泥に穴を掘って暮らす習性があります。
センジュエビの脚。
本来であれば、一番前方の一対に折り畳み式の長い脚が生えているようです。漁港直送便で獲れたてを送って頂きましたが、配送の途中で長~い鋏脚(きょうきゃく)は取れてしまったのかもしれません。
後方の脚を見てみると、確かにその先にはハサミが付いていますね。
全ての脚にハサミを持つ不思議なエビ、それがセンジュエビです。本当に摩訶不思議な形状ではないでしょうか。
腹側に卵を抱えていました。
いわゆる外子でしょうか。煮付けた後、旨味たっぷりの卵を美味しく頂きました。
煮付けた皿を真上から。
“重戦車”の呼び名にも納得しますね。いかにも頑丈そうな殻に覆われています。センジュエビの手前に盛り付けているのは、“煮付けて美味しい”ヘリダラです。
尻尾の殻の上部には、波形の突起が連なります。
なんだかこういうフィギュアが欲しくなりますね。
頭部先端に伸びているのは触覚でしょうか。
先端には鞭毛のようなものが見られます。
アカザエビの手は長い!
アカザエビの背に乗っかっているのは、奈良県特産品のひもとうがらしです。紐状の細長い唐辛子で、他府県の方々にとっては珍しいでしょう。
口のところが赤いですね。
深海に棲むトゲヒラタエビの殻も非常に硬かったですが、センジュエビも引けを取りません。
見た目で釘付けになる海老です。
甲殻類は殻から旨味が出ます。水洗いしてそのまま煮付けると、センジュエビの旨味が煮汁に溶け出します。旨味を吸わせた淡路島のたまねぎも絶品でした。
まるで昆虫のようでもあります。
近未来に訪れるであろう食糧難の時代に備え、昆虫食が注目されています。今まで食べたことのなかった食材も、一度口にすれば意外とその美味しさに気付くものです。深海魚や深海蝦も、その一助になることでしょう。