毎年楽しみにしている藤原宮跡の絶景。
ピンクとイエローに染まるお宮跡は、春の風物詩として定着した感があります。3月末から4月初旬にかけて繰り返される光景ですが、もうすっかりお馴染みとなりました。
桜と菜の花畑、その向こうに耳成山を望みます。
結婚式のロケーション撮影でも人気のようで、婚礼衣裳を着たカップルがポーズを取っている姿を見かけます。ここは大和三山に囲まれた風光明媚な場所で、春のピクニック気分が味わえます。お弁当を広げても面白そうですね。
天香具山を詠った持統天皇の万葉歌碑
藤原宮跡の春ゾーンに広がる桜と菜の花の競演。
醍醐池の周りにも多くの桜が開花していました。醍醐池の北西隅には観音様が祀られていますが、南東隅に万葉歌碑があることを今回初めて知りました。
幹からにょきっと開花しています。
お互いに示し合わせたかのように同時期に咲く桜と菜の花。その色合いも相まって、これ以上に無い風景が演出されます。
醍醐池の周囲に開花する桜。
ほぼ満開と言っていいでしょう。
藤原宮跡の発掘調査現場。
その向こうには、大和三山の一角・畝傍山を望みます。
さすがは藤原宮跡ですね、常にどこかで発掘調査が進められている印象です。
桜のトンネルの下を人々が行き交います。
この辺りは既に散り始めており、ちらほら葉桜も見られました。
持統天皇の万葉歌碑。
醍醐池の南東隅にひっそりとありました。
710年の平城京よりも前に造営された藤原京。女帝の持統天皇が694年に築き上げたお宮です。これは天香具山を詠った有名な万葉歌ですね。
碑文は大阪大学名誉教授の犬養孝氏によります。
春過ぎて夏来るらし白妙の・・・学生時代に暗記した記憶が蘇ります。
畝傍山の方を望みます。
一直線に桜の木が並んでいますが、この道を辿ると藤原京資料室前の駐車場へ続いています。
醍醐池北西隅に建つ観音像。
観音像から北東方向に菜の花畑が広がっています。
降り注ぐように桜が咲いています。
高低差もあり、よりダイナミックな咲きっぷりですね。
おや?
これは枝を切った跡でしょうか。フェンスにめり込んでいる様子が分かります。締め付けられた太い枝が痛々しいですが、やむを得ない処置だったのかもしれません。
こんな感じ。
なんだか空間アートを見ているようです。
もうすぐ散ってしまうであろう桜。
儚さゆえの美しさ。
醍醐池の方へも張り出していました。
縦横無尽に枝を伸ばし、その生命を謳歌しています。
例年より人出が少ないとは言え、春の陽気に誘われて人々の声がこだまします。
菜の花畑からは、ほのかに”春の匂い”が上がってきました!
桜はほぼ無臭でしょうか。
菜の花の独特の匂いは鼻腔を刺激し、冬の間眠っていた細胞が起こされるような気がします。
北東方向には三輪山を遠望。
神山・三輪山を拝せるのも、藤原宮跡の観光ポイントの一つです。
こちらは北方の耳成山。
大和三山の中でも距離的には一番近いでしょう。天香具山も割と近いですが、畝傍山は藤原京からかなり遠方です。畝傍山の麓には初代神武天皇陵があり、神武天皇を祀る橿原神宮が控えています。天皇ゆかりの場所がたくさん存在するのも、奈良県ならではですね。
ほぼ同じ背丈の菜の花群ですが、数本だけ上空にすーっと伸びています。
風にゆらゆら揺れて、安定が悪そうでした。
きっと青空との対比もいいんでしょうね。
青色にピンクに黄色と、お互いの色が重なり合います。そこに雲の白色も交じって、自然界の織り成す”塗り絵”にハマってしまいました。
絶景ですね。
広大な敷地があるからこそ、花々の競演が楽しめるのかもしれません。
大都会のど真ん中では成し得ない舞台演出です。「何も無い奈良県」と揶揄されることもありますが、何も無いことがかえって吉と出ることもあります。